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2014/06/27

「八重山群島における兄弟姉妹を中心とした親族関係」

 オナリ神というのは、分からるのだが分からないと思ってきた。ぼくには姉妹がいないからだ。姉妹がいなかったらオナリ神がいないのだろうか、と。

 伊藤幹治の「八重山群島における兄弟姉妹を中心とした親族関係」(1962年)はそれに示唆を提供している。

 鳩間島の播種(はしゅ)儀礼の一日目、アサダニ。戸主によって在来種(ウシノ)の種蒔きが行われる。

家々では、糯米(もちごめ-引用者)・粳米(うるごめ-引用者)で飯初を作って火の神・座の神に供えて祀るが、戸主の姉妹が火の神・座の神を拝みに訪れる。そして祈願がすむと、伊江の分食をすることになっている。ことに火の神に供えた飯初(糯米5ヶ)は、ソージ・イバチ(精進飯初?)といい、子供に食べさせたりすることができない。この飯初を分食するとき、最初に手をつけるのは、戸主の姉妹であることが原則とされる(p.343)。

 この飯初に最初に手をつけるのがオナリ神の役割だ。では、姉妹がいない場合はどうするのか。この場合は、父の姉妹、つまり、伯母か叔母が代行することになっている。

 伊藤は、このようにして、他の場合にもみられるオナリ神の代行者の例を挙げている。

1.兄妹に対して姉妹
2.姉妹が不在の場合は、父の姉妹(伯母、叔母)
3.姉妹も父の姉妹を欠いている場合は、父の兄妹の娘(従姉妹)

4.1~3を欠く場合は、自己の直系の孫(娘)
5.姉妹が遠隔地へ移住または死亡の場合、当人の配偶者(妻)
6.姉妹が幼少の場合、父の姉妹(伯母、叔母)が代行

 こうしてみると、姉妹、伯母・叔母、従姉妹、孫娘、妻が挙げられるが、親族のなかの女性が優先順位を与えられて全部、揃うことになる。「父方の」となっているのは、1962年には父系が優位になっていることを示している。

 これはオナリ神の裾野であり、オナリという呼称が姉妹以外に拡張される根拠になっているものだと思える。


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