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2014/06/09

「御嶽の構成要素」

 吉成直樹の『マレビトの文化史―琉球列島文化多元構成論』(1995年)。「御嶽の構成要素」。

 御嶽。ウガン(拝み)という名称とともに沖縄諸島で用いられる。
 奄美は神山、オボツ山。宮古はスク、八重山ではオン、与那国島ではワー。

 御嶽の構造。
・うっそうとした木立におおわれたなかにある神女以外は立ち入ることができない聖域。
・一番奥には、「イベ」と呼ばれる樹木や石などがある。
・「イベの前」。一般の人が祈願する場所。

 加計呂麻島の神山(J・クライナー)

1.オボツ山。祭祀のときに天からオボツの神が、この山の木に降臨する神山。
2.イヤンヤ(岩屋)。岩や洞窟の中に「昔の人の骨」が散らばっており、死者の行くグショ(後生)の地下他界への入口とされ、非常に恐れられている神山。
3.イベ。村に近い場所か村のミャー(広場)に接する、平坦地の小さな林か藪とその中の空き地にある拝所、あるいはオボツ山の斜面やミャーそのものにある拝所。形態としては、珊瑚岩で積んだ小高い塚、石で囲まれた一段高くなった土台と木、自然石など。この神山には、常に村にあって村を守る神(シマ守り神=島高祖、島建世建神)の観念が結びつく。

 この分類から言えるのは、オボツ山の樹木が神の降臨地点であり、いわばオボツ山が神の領域。イベは、神と人間の領域の接点に位置する。

 イベの神山、御嶽のイベ拝所は、天上から降臨し、島立てした始祖、ノロなどを祀る聖域。御嶽には、オボツ信仰の影響が濃厚に認められる。

琉球王朝が、イベを、あくまで天上の神と結びつけることによって、村々のイベとそれを祀る神女群-琉球王府が聞得大君を頂点とする神女組織を整備する以前にも、村々では神女たちが祭祀を営んでいた-を基盤にしつつ、支配体制を築き上げようとする意図があったことを示している(p.165)。

 つまり、島人のもともとの聖域に、琉球王朝がかぶさってきたということだ。

 まず、山に開拓始祖を埋葬し、祭祀する形態があった。そこに、ノロなど神女の骨を祀り、山神と同一視した。

 ここでは深入りしないが、吉成はさらにこの古層に、与路島、加計呂麻島の起源伝承から、男性による祭祀形態の可能性を指摘している(p.171)。

 御嶽を構成する要素。
1.開拓祖神、あるいはノロなどの神女の墓所
2.天上の神が降臨する場所
3.大和の山岳信仰であるタケ

 3は、大きな役割は果たしていなかったとしても、ある程度の影響という意味で入れられている。
 このなかでは、2の天上(山頂)からの降臨する場所というのが古型だ。

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