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2014/06/07

「海神憑依の祭祀構造」

 吉成直樹の『マレビトの文化史―琉球列島文化多元構成論』(1995年)。「海神憑依の祭祀構造」。

 国頭、謝名城のウンジャミ。
 前の晩に、お籠り。ノロなど主たる神役=神女たちが小屋に籠って祈願。
 アラハンサガ(神女の就任式)。神女に降臨接触。アラダムト(新しい神女)は、男子禁制のなかで神の乗り移りの儀式を行う。
 翌日、ニライ・カナイの神を迎える儀礼(目に見えない、観念的、抽象的神)。
 昼、ノロの家に集まり、白衣、城ハチマキをし、六尺ほどの神弓と矢を持ち、赤いウチワをもって、男性神役の打つ太鼓に先導されて、謝名城の小高い森のなかにある祭場に向かう。祭場にはアシャギと庭がある。
 神女は村人と神酒のやりとり。
 「遊ビビラムト」という神女が数名、山の神と海の神へ祈願したあと、弓状の棒を持って「ウンクイ・ウンクイ(豊饒を乞う)」と唱えながら円を描いてまわる。
 神女たちは、着替える。白衣裳から、赤、黄の色のついた衣裳、頭につる草などでつくったハーブイ(冠)を被り、弓状の棒をもって、歌い、踊る。ニライ・カナイと神と一緒になって踊る。
 縄遊び。ニライ・カナイの神々を送る。二本の縄で舟を象徴させ、その中で幾人かの神女が踊る。

 ウンジャミで、神女は「弓」によって神が憑依し、「白衣裳から、赤、黄の色のついた衣裳、頭につる草などでつくったハーブイ(冠)を被り」、神そのものになる。

 奄美大島、加計呂麻島のウムケー、オーホリも、神の憑依を基礎とするマレビト祭祀。

 これら沖縄諸島や奄美諸島にみられる海からのマレビトを迎える祭祀では、単に、神女が、その仕草などによって、目に見えない抽象的な神を迎え、送るとうことを儀礼的に表現するばかりではなく、神が特定の神女に憑依し、その神女が海神そのものを演じる、という構造をもつ(p.129)。
 (先学を踏まえると-引用者)女子シャーマン、龍神=海神信仰という結びつきが、遅くとも縄文後期には琉球列島に登場し、女性シャーmンの系譜は中国河南に求められる、ということになる(p.132)。

 大林太良は、「琉球列島も、みずからの祖先を蛇と考える龍蛇トーテム的観念をもつ地域であった、とみなしている」(p.132)。

 神女に憑依するのが蛇霊であることを示す事例もある。
 蛇霊信仰も、海上他界観とむすびつくものであったと考えられる(p.135)。

メモ
・洞窟(洞穴)他界 男性 仮面仮装の来訪神
・海上他界 女性 憑依による来訪神 蛇がトーテム

 ということになる。海上他界も古い、ということだ。ただし、両者でいえば、洞窟(洞穴)他界が他界観としても古いと思える。

 謝名城のウンジャミは、無くなってしまった与論ウンジャミの形を探る上で重要だ。

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