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2014/06/10

「ふたつの祭祀複合とシャマニズム的要素」

 吉成直樹の『マレビトの文化史―琉球列島文化多元構成論』(1995年)。「ふたつの祭祀複合とシャマニズム的要素」。

 海(ニライ)の神を核とする祭祀の担い手であるムトゥガミの女性神役は、同時に「ティンユタ」と呼ばれる”シャーマン”としての性格を持つ存在であり、御嶽祭祀を担うノロ=神女組織とはその点で大きく異なっている(後略)。簡単に言えば、ムトゥガミ群に認められるシャマニズム的色彩は、ノロ=神女組織のそれとは違い、きわめて濃厚なのである(p.191)。
 海のはるか彼方から訪れる神が憑依する神女に、シャーマンとしての性格が濃厚に認められるのは、なぜであろうか(p.193)。
あえて憶測を述べれば、前者(御嶽を核とする祭祀複合-引用者)は、基本的に、北方からの流れを汲むシャマニズムであろうし、後者(海神を核とする祭祀複合-引用者)は、龍型垂飾の系譜などから考えて、華南からの流れを汲むシャマニズムであえるように持われる。とすれば、琉球列島においては、後者の要素が強く根づいている、と考えられることになる(p.194)。

 これは、本質的にはユタが巫覡であり、ノロが巫女である点に帰せられると思う。ユタは自己幻想を共同幻想に憑かせるシャーマンであるのに対し、ノロは対幻想の対象を共同幻想に選択する。もちろん、ノロからユタになった女性もいて、巫覡的な力を保持したノロも存在したから、両者は交わりを持った領域の力を持っていた。琉球弧は巫覡の力が保持され発揮できる環境だった。

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