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2014/05/12

58.「洗骨と再生」

 「洗骨と再生」(酒井卯作『琉球列島における死霊祭祀の構造』)。

 洗骨
・波照間島、タンカーヨイ(誕生祝い)。洗骨は死者の魂の新たなる誕生。
・与論島。「骨を新しくする」。波照間島と同じ意味。

 年中行事として毎年、行っているところも多い。「洗骨とは洗うことによって、穢れ多き死者が生誕以前の状態に戻り、そこから新たな生を獲得する手段として存在する行事」(p.427)。

・与論島市来家のチアラの骨を泡盛で拭く。
・洗骨は七、十三、三十三年忌というふうに数回にわたって行う(与論島)、加藤正春。
・初めて、ミーウガン(新拝み)、以後の洗骨はマタウガン(再度拝み)(p.426)。


 古宇利島の神事。
 「二人(神職)は獄中に入り祈祷を行ひたる後、白衣を抜きて裸体となり、酒饌(ミキ)を以て其髑髏を洗浄し白布巾にて拭去る。是彼らの祖先より伝はりし神秘的祭祀なり。(「沖縄県国頭郡誌」)(p.428)

 「神体である人骨と神女の婚姻が明確な形で示されている」(p.428)。

 「添い寝」といい、神女の誕生時の同衾(p.417)といい、この例といい、共寝の事例が豊富なことに驚く。

沖永良部島。西見シヌグ(p.429)。
 三日め、「西見シヌグのウッタハチブル」(ウッタは墓、ハチブルは面形(おもがた))。
・ウッタ墓から面を被った神々の出現。
・男子四人。二人は女装して、男二人は舟を漕ぐ真似をし、女装の二人は太鼓にあわせて上手に踊る。

バントゥ(宮古島島尻)
・仮面の神は三人。ウヤパー(親)、ナカパー(中年)、フファバー(子供)。
・通行人めがけて泥を塗るが、これによって厄を祓うと信じられている。
・バントゥの出現する場所。老人によってはムトゥ(墓)から出現すると言う人もいる。テラ(聖地)という人もいる。参井からという人も。
・「いずれにせよ神出現の場所は信仰の根源となる場所であることに変わりはない。

アカマタ・クロマタ(小浜島)
・アカマタ(男)、クロマタ(女)
・出現する場所はナビンドゥ。神域でその奥は浪の音のする洞窟に通じている。
・二日目に神女たちはウムイ(神歌)を唱えながら、この二神の面形に水を注ぐ。神の蘇るための復活の水。


1.洗骨、神の出現する場所は墓所、または信仰上の聖域
2.折目ごとに骨を洗うことと面形に水を注ぐことは、そのいずれも蘇生する魂を意味する
3.仮面は男女二神。場合によっては神との婚姻(p.430)。

 人骨を洗うのはいかにも原始性があって古い形式のようにも思えるが、洗骨を新しい風習とみる私の考えからすれば、面形に象徴される神の再生信仰を下敷きとして、洗骨習俗に転じたとみるのが妥当のように思える(p.430)。


 神の出現する場所は、他界の入口ということだ。それが洞窟という古代の認識が残っているところでは洞窟からになるし、観念的な他界の場所が希薄であれば墓ということになる。

 広い分布ではなかったかもしれないが、洗骨習俗ははもともとも存在していたのではないか。それが、神とみなす人骨を洗う信仰につながった。そう見るのが自然に思える。

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