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2014/05/13

59.「再生信仰の諸現象、まとめ」

 「まとめ」(酒井卯作『琉球列島における死霊祭祀の構造』)。

 豊饒をもたらす原郷とみられる聖地と、死者の延長上にある他界と再生信仰は区別して考える。 霊魂はマブイ(守護霊)とムン(悪霊)。マブイは別名セジ(霊・筋)(p.431)。

 童名(わらびな)。
・山中で迷子になっても、けっしてその人の童名は呼ばない。クンムン(妖怪)に知られてとりかえしがつかなくなるから(大島)。
・危篤の病人の魂呼ばいをするときは、老人であってもその人の童名を呼ぶ(沖縄)。
・長男、長女は父方の祖父母。次女、次男は母方の祖父母の名を継承する。
・男子は種子方(たねかた、父方)、女子は産方(なすかた、母方)の名をつける(八重山)。
・命名のときのユングトゥ(祈り詞)。「良カ人ナラニバナラヌ、ウラ名ヤ○○親ヌ名ドゥ、体強ク、生命長ク、クェツキラサン(山田実)。「親神や身の上」(野口才蔵)。与論島。
・自分の守護霊であるマゥを所有する(宮古島の女性)。

 老人の死をカジマヤーを呼ぶのは、おそらく回転を意味するもので、「生れ姿に戻る」資格をもつ理想的な死者である(p.432)。

 名の継承、死水を汲む場所は産水(うぷみじ)を汲む場所と同一、汲む者は「嘉例の人」、その水は「生き水」。骨噛みの伝承、「内地では人体になぞらえた餅であり、琉球では動物である。これを食うことによって死者の霊魂の転位をはかろうとしたものであろう」。これは「枕飯」の共食という形で残されている。

 琉球列島ではとくに、死者の魂を内在させていこうとするセジ(霊)づけの思想が濃厚にみられることである。後世になって、各種の異文化を吸収した後も、例えば洗骨や年忌などの行事のすべてに、かつて自分たち独自の世界であった信仰を、うまく調和させて維持してきている(p.432)。

 童名とは、マブイの名である。先祖の霊の連なりからなる神と来訪神は別である。出現する場所を同じくしているのは、他界への出入口を通るからだ。

 カジマヤーは、時間的な他界への疎外行為だ。しかし、それは即、再生へと接続する行為でもある。ここが、「遠野物語」の民譚の、「ダンナノハナ」や「蓮台野」という空間的な他界への疎外と違いだ。


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