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2014/04/28

45.「葬地への畏怖」

 「葬地への畏怖」(酒井卯作『琉球列島における死霊祭祀の構造』)。

 葬地への強い禁忌感。たとえば、指差しの禁忌。「墓かてぃ指ねぇゆるむやあらんぬ」。もし指したら、クッティクッティクッティと言いながら指に唾を吐きかける(野口才蔵)。この呪言は知らなかった。

 与論島では以前は膝を立てて紐で縛った。現在では埋葬地に設けられる霊屋(ガンブタ)をアオ竹で縛る。これは与論独特の風景。吹き飛ばされないようにと言うが、「死者を縛る風習が、棺を縛る風習への移行することによって、死者に対する恐怖感が間接化していく傾向がここにもみられる(p.336)。

 与論でも、死体を縛っていたことがあったのは知らなかった。これも驚く。葬地に入ることへの厳しい禁忌観念。

 琉球社会における死に対する考えは、親密感とはおよそ正反対の、妥協を許さない厳しさが、その風習のいたるところにみられる。葬地に対する畏怖感はその一つのあらわれであろう(p.339)。

 これはその通りだと思うが、禁忌には畏怖と、親愛や安心の両義性を持つということではないか。酒井は、現在、流布されている親密感への反発から、畏怖感を強調するが、論が畏怖のみに寄ってしまっている気がする。

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