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2014/04/24

41.「死者をおく島」

 「死者をおく島」(酒井卯作『琉球列島における死霊祭祀の構造』)。

 例として挙げられているのは、大島南西部、焼内湾の枝手久島(イザトバナレ)。大島北端のニャデ。今帰仁湧川のヤガンナ島。勝連浜比嘉のクバ島。

 「後生とは仏教用語を借りたもの」(p.308)。

 沖縄諸島では、あの世を後生と呼んでいるが、それを事の外近い処のやうに考へて居るさうである。眼にこそ見えないが招けば必ず来り、又は自ら進んでも人に近づくことが有るとすると、月や季節の替り目のみに、日を定めて行はるゝことよりは、なほ近い処を想像しなければならなかった」(柳田國男「先祖の話」)。

 柳田のこの考えが軸になって、「死の世界を身近な所、親しいもの」と先学の人たちは理解してきた、と酒井は指摘している。そして、「死をどのような美しい言葉で飾り、またどのようなやわらかな感情で包んでみても、結局、死は腐敗であり恐怖であり、それ以外の何ものでもない」として、「死者への愛情の深さ」などで装飾されることに異議を唱えている。

 酒井のアプローチとは異なるが、死者への愛情というより、生死が連続的なものだった漁撈採集段階、アフリカ的段階の思考法が強く残存しているということではないだろうか。そこでは他界はないといっても、いたるところにあるといっても同じである。

 「死者をおく島」は、洞窟の次にくる段階とばくぜんと想定したが、この節を読み、洞窟バリエーションのひとつでありうると思いなおした。

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