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2014/04/15

32.「はじめに(海上他界)」

 第三部、「琉球列島の他界観念」。第一章、「海上他界」。第一節、「はじめに」(酒井卯作『琉球列島における死霊祭祀の構造』)。

 「かつて琉球の女性たちは、後生に行けないから、という理由のために、手の甲に入墨をした(p.239)」。

 島に針師がいないからと、「転んでも、まだベソをかくあどけない少女が、「後生に行けないから」という理由のために、痛みをこらえて、必死に自分で突針をする光景を想像すると、琉球の婦人たちが、これほどまでに執着した後生とはいったい何だったのかを、改めて考え直さざるをえないような気がする(p.239)。

 アマムならアマムを描いた時、それはトーテムだった。同時に、身体は霊魂の衣裳と見なされた。やがて、そのトーテム原理が崩れ、時が経つと、おしゃれや好奇心に動機が変わっていく。そう捉えてきたが、後生の切符と捉えられてきた段階のあることが分かる。これも動機として古いが、「後生に行けないから」というだけが全ての理由ではなかったことは押えておきたい。

 (前略)その原郷土への復帰を知ることは、民族の移動の歴史を知る手がかりになる、とまではいかないまでも、他界観念が社会集団の共同意識としてある限り、文化の類型の特色としてtこれをあるていど捉えることはできると思う。とくに琉球の女性たちが必死に追い求めた後生感は、どのような形で存在したか、もしくは存在しなかったのか、ここでは死者の魂の帰属をめぐって、その性格を検討してみる(p.240)。

 この問題意識は、「もしくは存在しなかったのか」ことを含めて、ぼくたちのそれにぴたりと重なる。展開が楽しみだ。

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