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2014/03/01

『Seaside Garden Note vol.01 (Yoron Island)』

 うっとりすること請け合いの写真集だ。

 珊瑚礁の海のグラデーション、水の透明感、朝陽の神々しい輝き、夕陽に照らされる雲の怪しさ、田中一村顔負けのアダンの黒の陰影、月夜が生み出すもうひとつの世界、汀の砂の柔らかさ。どれを採っても、飽きるほど観ているはずの与論風景のひとつのはずなのに、いままでみたことがない島の表情に惹きこまれうっとりしてしまう。

 まるで、マブイ(魂)抜けするみたいに。

 それは表紙からも一目瞭然のように、島に贈られる光を繊細に切り取っていることからやってくる印象なのだと、理由のほんの一端を合点する。そしてぼくたちは、どれだけ多くのことを見落とし、感じ損ねているのだろうという内省までやってくる。

 ひょっとして、昔の島人が観ていたのは、この与論なのではないだろうか。昔の与論人は、この写真集のように島を眺めていた。眼は近くのものをきめ細かく未届け、遠くはふたつ向こうの島も認識し、耳は亜熱帯の植物や魚の心を聴き分けていた。その世界の切片を復元するように、この写真集はぼくたちに贈られているのではないだろうか。

 与論の魅力の核心は、与論ブルーなどと言ってしまってステレオタイプ化してしまう言葉の向こうにあるものだ。そのことを心地よく教えてもらった。


『Seaside Garden Note vol.01 (Yoron Island)』

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