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2012/11/17

与論島、2012年の台風受難

 わずかひと月の間に三度も台風が島を直撃した2012年は、3500年を超える与論島史のなかでも特異な年だったに違いない。与論を通過した日に焦点を当てれば、台風15号・ボラヴェンが8月26日。その21日後の9月16日に台風16号・サンバ。さらにそのわずか8日後の9月29日の台風17号・ジェラワット。三つの台風はわずかひと月余りの間に次々と島に襲来した。

 しかも、気象庁の台風経路図を並べてみると、三つともがことごとく、欠かせない寄港地であるかのように与論島近くを通過しているのが分かる。いくら台風に慣れっこの島と島人であってもこれにダメージを受けないはずがなかった。

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 台風15号は島の砂浜の形を変えるほどの力を持っていたが、当初、最大瞬間風速が70m/sにまで達すると予想されていたのと異なり、40m/s超程度で収まった。ここでぼくたちが耳にしたのは「壁雲」という言葉だった。風がそれほど強くなかったのは島から発せられるツイッターの様子でも伺い知ることができたが、その理由を気象庁は「壁雲」で説明した。台風中心の外側に、輪を描くように「壁雲」(積乱雲)が発生し、外からの風がその雲の壁に阻まれたため、中心付近で風が予報ほどには強まらなかったというのだ。1977年に日本の陸上での最低気圧を記録した沖永良部島台風並みの勢力を恐れた島人にしてみたら、これはほっとする事態だった。

 しかし本格的な被害はその安堵の後にやってきた。9月16日の16号で、島の道路標識は倒され電柱は傾き、倒れた木が道を塞ぎ、民宿の屋根は飛ばされ倒壊した家屋も出てしまった。そして泣きっ面に蜂で、片づけにいそしんでいた矢先の29日には17号が再び島を直撃し、サッカーゴールを倒し、屋根を飛ばされた家も後を絶たず、島には瓦礫の山ができた。この後、にっぽん丸の寄港など、台風後の静かな世界を取り戻したかに見えたが、のろのろして島の東の海上を去らなかった21号の影響で15日には島のガソリンが底をつく。物資も当然、不足したわけで島への供給はその5日後の20日を待たなければならなかった。

 ぼくは改めて、「離島苦」という言葉を思い出さざるをえない。

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◇◆◇

 鹿児島県のサイトによれば、16号、17号の被害状況は次のようにカウントされている。

1. 人的被害
軽傷1名

2. 住家等被害
1)住家被害(棟)
全壊 30
半壊 128
一部損壊 723
床上浸水 5
床下浸水 1
――――――
合計 887(棟)

2)非住家被害(棟)
公共建物 
全壊 2
半壊 2
その他  
全壊 133
半壊 161
――――――
合計 298(棟)

 現在、2454世帯があるから、およそ3分の1以上に及ぶ家に大小の被害があった。これに牛小屋や事務所を含めると、全部で1185の建物が傷んだのだ。

 16号の後からは島の外で義援活動が起こり義援金の募集も始まった。テレビの取材も入り、いくぶん窮状は外にも伝わった。けれど、ぼくたちに印象深いのは、疲労や疲弊の大きさよりそれらのを胸に抱えながらそれでも淡々としている島と島の人たちの姿ではないだろうか。これには、これだけの規模の直撃に襲われながら、死者や負傷者が、軽傷者1人のみに収まっているので、大きな哀しみを生まずに済んでいることも寄与しているだろう。けれど、それにしても島は淡々と静かでいるように見える。

 ブログ「地球征服はご陽気に!」では、そんな島人たちのありようを、

僕は知ってる...まず相手のことを思う与論人 他の人を思い黙して状況を訴えない慎み深く誇り高き人達(「与論島 約1週間ぶりにガソリンの販売再開」

 と書いてくれている。出身者のぼくは、そんな上等なものではないと思いながらも、この激励には深く感謝するし、それとともに、「黙して状況を訴えない」島人のありようには目を奪われる。ぼくは深い諦念に包まれた島人となりをここにも見るように思う。他人事ではないこととして、そう思う。

 義援金活動は年末まで続いている。現在も受け付け中だ。

[以下、引用]

●ゆうちょ銀行
口座番号:01720-3-184
名義:与論町台風16号災害義援金
※全国のゆうちょ銀行間の振込手数料が受付期間中は無料となります。
[受付期間:平成 24 年10月3日(水)~平成 24 年 12 月 28 日(金)]

●奄美大島信用金庫
与論支店
口座番号:(普)0301535
名義:与論町台風16号災害義援金
※全国の信用金庫からの振込手数料が受付期間中は無料となります。
[受付期間:平成 24 年10月1日(月)~平成 24 年 12 月 31 日(月)]

●あまみ農業協同組合
与論支所  
口座番号:(普)0045748  
名義:与論町台風16号災害義援金
※全国の JA バンクからの振込手数料が受付期間中は無料となります。
[受付期間:平成24年9月25日(火)~平成24年12月31日(月)]

●現金書留による送金
〒891-9301  
鹿児島県大島郡与論町茶花 32 番 1 総務企画課内
与論町台風16号災害対策本部
※ 宛名のところに「義援金係」と明記して下さい。
受付期間中は料金が免除となります。
[受付期間:平成 24 年 10 月3日( 水 )~平成 24 年 12 月 28 日(金)]

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2012/11/07

箴言

還りの道の言葉を往きの道の倫理として受け取ってはならない。



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