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2012/03/18

「島はみんな幻」(吉本隆明)。クニとしての与論島

 20年前の対談が、新著として、吉本の死後、手元に届いた。そんな本、『書 文字 アジア』を読むということはどんな感慨を送って寄こすだろう。

 けれど、その前に書いておきたい。

 1970年4月、吉本隆明は詩「島はみんな幻」を発表する。ポール・マッカートニーがビートルズ脱退を表明したすぐ後の頃だ。「島はみんな幻」は次の一節で結ばれる。

<きみ>はしるまい
<きみ>が<クニ>と称して恨んだりよろこんだりしているもの
が じつは幻の島にすぎないこと
<きみ>はしるまい
<きみ>が島と称して辺境にうかがうもの
が じつはさびしいひとつひとつの<クニ>であること

 好きな詩はいくつもあるけれど、切実さでいったらこの詩のこの一節を筆頭に挙げなくてはならない。ぼくがやりたいと思っていることは、奄美や琉球の島々の一つひとつが<クニ>に他ならないとして、その世界像を浮かび上がらせること、とりわけ<クニ>としての与論島に、海面に姿を現した珊瑚礁のように輪郭を持たせることだからだ。

 この年の9月、吉本は講演で「南島論」を発表する。巨きすぎるテーマだけれど、与論島としての南島論を引き継ぎたいと思う。



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