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2011/02/07

『辺戸岬から与論島が見える』

 竹内浩著、『辺戸岬から与論島が見える<改訂版>』(2009年)は、与論島の歴史を知る上で最良のテキストだと思う。残念ながらこれは私家版なので、市場には流通していない。与論島がテーマなので読者も少ないかもしれない。けれど、島人が現代の知見を取り入れながら、しかし現在の言説の通念に惑わされず自らのこだわりを貫いた島語りであるという点で、ぼくには宝物のように思える。

 それはシヌグの分析に明らかだし、与論は薩摩の統治を受けたこともあるが、琉球との文物の交流のなかで、その文化を育んできたということを、思考枠が先行することなく、内側からの語りで自然にひとつの世界観にしている。そういうところに現れている。

 著者は、2008年に4万円でパソコンを購入し、ほとんど手習いで文字入力を覚え、2009年にこれを完成させている。内容は与論の人らしく静かな語り口だが、この努力には島への愛情と執念が宿っているのを疑えない。著者は、「おわりに」で、

 私の予想をこえて自身の思いを書き過ぎたように思える。

 と書くが、それこそがこの本の価値なのだ。このような与論の語りを、ぼくも書きたい。と思った。なお、『辺戸岬から与論島が見える』という、復帰前の沖縄の声のような書名は、与論はそれ自体で実態を浮かび上がらせることはできず、関係、特に沖縄島北部との関係のなかで浮かび上がってくるという方法を託したものだ。

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コメント

こんにちは。いつも勉強させていただいています。

さて、標記の本は、どうすれば入手できますか?。
教えていただければ幸いです。

よろしく願います。

投稿: 川内恵司 | 2011/02/08 12:43

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