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2011/01/05

クントゥグンジュウ

 1月3日、与論のクントゥグンジュウに参加した。クントゥグンジュウ。標準語にすれば、今度五十。他島ではどう言うか知らないけれど、コント55号、のようなユーモラスな響きがあって与論らしい。数えで五十歳になる年始に行われる歳祝いだ。

 案内が来ているわけでもない、ぎりぎりまで行くかどうか迷った。でもやはり行かないわけにいかなかった。歳祝いといえば、次の機会は六十一歳になる。その時のことなんて想像もできないし、亡くなっている人もいるだろうし(自分だってそうかもしれない)、これがラストチャンスだと思った。

 3時半にグスクの琴平神社に集合。二十名ほどだろうか。集まってやったのは厄払い。しまったと思った。空港で、同級生に偶然会って、格好はどうでもいいと聞いていたけれど、集った面々はみんな着物かスーツ。ぼくは、ラフでもスーツでもいいようにジャケットだけ着けてジーンズという出で立ちで臨んでいた。に、してもやはりカジュアルであった。ちょっと場違いだったかもしれない。神主さんの開口一番が、「ようこそ五十歳へ」。四十代にもまだ違和感があるというのに、なんということだ。

 雨が降ってきた。例年にない寒さが余計、染みてくる。めいめいそのままプリシアリゾートへ。神社で拝んでプリシアで飲むという寸法かと思ったが、その通りだった。事前に支払ってないので、その場で会費の一万円を渡した。そしてあとは宴、である。

 いちばん嬉しかったのは、三十七年間、一度も会っていない同級生たちに、下の名前で、しかも親しみを込めて呼ばれたことだった。当たり前のことかもしれない。けれど、ぼくは小学五年の終わりに転校しているし、幼稚園もみんなと共有していない。ぼくはみんなを思い出す術を持たないし、みんなもそうだろう。そういう者にとって、名前で呼ばれるのは望外の嬉しさだった。ぼくも、顔を見つめていると、次第に小学校のときの顔が思いだされてきた。

 前日、盛窪さんに、同級生は宝、と言われたけれど、そのことの意味が身に染みた。長い間、生まれ島の、いちばん好きな与論の卒業アルバムに載っていないことが、ひっかかっていたけれど、校区別の集合写真がすぐに用意されていた。宝物。上野君、ありがとう。写真が無くても記憶は残るということが、ほんとうの宝物だと分かったけれど、それでも嬉しい。

 同級生に、与論島に心から感謝したい。宴も、始まってみれば、与論らしいカジュアルさだった。思いもしなかった再会、会いたかったのに会えなかった人、会いたくて会えた人、いたけれど、どれも等しくかけがえがない。同級生170名?のうち、6名が亡くなったと、名前が読み上げられた。ぼくはそこに、小学校のときに亡くなったHさんの名前を加え、心に刻んだ。みんな、ありがとう。とーとぅがなし。

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コメント

 今度50歳と コント55はいいね。

感激61歳  と自分の働き・儲けで岩って60歳超えたら
一切捨て去って  
出直します。

73歳は 子供が祝ってくれます。

投稿: あわ | 2011/01/07 06:13

私は年男で今年60歳になります。年をとったものです。年末年始、今年は喜界島を歩いてきました。喜山さんのページも随分参考にさせて頂きました。ブログ再開?を喜んでいます。

投稿: tssune3 | 2011/01/07 12:15

 喜山さん。お元気の上、トゥスビー(年男)で何よりです。

小生の妹にも卯年の同年が居ますが、「クントゥグンジュウ」という語が、ウチナーンチュの小生にとっても、親近感の沸く言葉です。
 沖縄の場合、少し違っていて、数え49歳のの者を「ククントゥグジュウ」と言い方です。多少言い方は違いますが、この一件で持っても、与論島は「ウチナー」の圏内だということが分りますね。

投稿: キー坊 | 2011/01/07 22:05

先日はお疲れ様でした。
3日のよいは楽しまれたようで実行委員会の一人として嬉しく思います。
小学生の時も含め、一度も話したことのない間柄でしたが、見た目がゆんぬんちゅなので話しやすかったです。
(こっちが一方的に話してばかりでしたが)
またお会いできる日を楽しみにしています。

投稿: 上野 | 2011/01/08 20:57

> あわさん

73ヨイは子どもが祝ってくれるっていいですね。与論に住む人の幸せです。


> tssune3さん

ぼくと干支が一緒なんですね。(^^)
ブログか何かはともかく、書き続けていくつもりです。
今年もよろしくお願いします。


>キー坊さん

ご無沙汰しています。与論の「ククントゥグジュウ」も数え49歳です。やはりそう言うのですか。嬉しい発見です。


> 上野君

> 小学生の時も含め、一度も話したことのない間柄でしたが、見た目がゆんぬんちゅなので話しやすかったです。

中身もユンヌンチュと言ってください。話を聞きながら、パラジだなあと感じましたよ。これからも宜しくお願いします。

投稿: 喜山 | 2011/01/09 17:13

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