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2010/05/08

「奄美の『自分さがし』-アマミンチュとしての自覚-」3

 「奄美はあるのか」と、須山は奄美固有の問いを投げかける。

 高橋・喜山の両者に共通するのは,日本・沖縄・薩摩といった外部の影響を強調する観点である。高橋のいう境界性は,一方に琉球・沖縄を置き,もう一方に日本やヤマトや鹿児島を置く。その二項対立の狭間の存在として奄美や沖永良部島を描き出す手法である。喜山もまた,琉球対薩摩を基本的な分析軸として議論を展開している。
 高橋は奄美の立ち位置を「曖昧」といい,喜山は奄美の状況を「失語」と表現した。しかし,2人ともが奄美のことを論じようとして,結局は他者であるヤマトや琉球や薩摩を論じている。それこそが失語の実態であると喜山にしかられるかもしれないが,両者の説明様式はそろって他律的である。奄美以外の要素についてどれだけ綿々と語っても,奄美そのものを語らなければ,奄美の姿は見えてこないであろう。ただ,この2人の論客をして,このような見方をさせてしまうことこそが,400年にわたる被支配の根深さを端的に示すのかも知れない。

 そう、根深い、とぼくは言いたげなわけだ。

 「失語」や「暖味」,不明確性や空虚感は.消去法に基づいた語り方の結果あらわれた問題であるともいえる。しかしそうではなく,地域をより積極的に観察すれば,地域に関するさまざまな語りを兄いだすことが可能である。自分たちの足許,奄美という場所にもっと目を向けよう,ということを筆者は主張したい。

 ぼくも内側からの視点を持ちたいと考えるものだ。言い訳めくが、内側から語るのに他者を語るのは内側を無価値と思いこんできた慣性を止めるための労力でもあれば、内側からしか開かない扉へ向かうための道筋だとも言える。自己からみた自己像の不在というだけではない。他者からみた自己像の不在も、他者へ向かわせる動因にもなっている。

 喜山は「個々のシマ/島こそが主役である」というのが奄美的態度であると主張するが,シマと島を区別しない表現は,彼がシマと島の重なりが大きい与論島出身者であるから言えることであろう。奄美が奄美らしさを回復するためにシマに回帰するというのは,正当な姿勢であるように見える。しかし,そうするにはシマの衰退は進行しすぎたといわざるを得ない。シマが蓄積してきた豊かな語りは現在急速に失われつつある。

 シマ/島は急速に失われている。そう、だからぼくたちの焦慮も深い。一方、須山が言うように、他者からの奄美発見が広がり、奄美は他者からみた自己像を知りつつある。そうなれば、ぼくたちは自己による自己像に向き合いやすくなるだろう。そのとき、シマ/島は実態であるというより、掘り下げるべき像へ転化するのだと思える。それは沖縄の音楽に反応するように身体的なものかもしれない。

 まるで言い訳するようにしか須山の書評に対してないが、対話の緒が開かれることが何より嬉しいことだ。

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コメント

こんにちは。はじめまして。
こちら、興味深い情報がいっぱい!!
私は沖縄と徳之島の血を引いてて、生まれは徳之島です。
じっくり読ませていただきますね。

投稿: auster7 | 2010/05/13 11:15

薩摩・国に対してどうこう言ったり黒糖搾取や農奴時代の恨み節を未だに言い続けてもそれから先の提案や要求ができなければ意味がない。奄振予算を奄美が独自で決められないことを解決するにはどうしたらいいか?
沖縄でもない鹿児島でもない独自性のうんちくを展開するなら「大島県」の構想を今一度考える方がまし。

投稿: しまっちゅ | 2010/05/20 12:22

景気回復

いまだに外国に何百億も何千億も使う予算があるなら不景気の日本国内に投じればいい。
戦闘機も潜水艦も民間旅客機も原子炉も日本で国産品を造れば雇用も大拡大する。特に米国から買ってる戦闘機。
農産畜産水産物も自給率を高め、肥料の自給率も高める。
エネルギーも鉱物資源も日本の領海領土(東シナ海・竹島周辺日本海・北方領土周辺)で調達する。
むしろ日本は無資源国の考えを捨て、実はエネルギーは輸出できるほど満ち足りた、資源大国という考えを持たなければ生き残れない。

投稿: あましん | 2010/05/23 03:44

みなさん、お返事遅れてごめんなさい。m(_ _)m

> auster7さん

徳之島なんですね。
去年から、奄美を論じる場の中心舞台は、大島から徳之島に移行している印象があります。ブログも拝見させていただきます。


> しまっちゅさん

奄振の予算は、奄美が主導を持つべきだと、ぼくも思います。


> あましんさん

技術の高度化も資源のあり方を変えてくれますね。ぼくはそこにも期待します。

投稿: 喜山 | 2010/05/30 16:53

全くそのとおりですね。

投稿: あましん | 2010/05/31 18:06

でも残念ながら東シナ海のガス田もレアメタルも水産資源も必ず中国に盗まれます。エリートと言われている官僚や政治家(あのア歩の鳩山も福島みずほも東京大学出身ですから)が利権?な賄賂?欲しさ?で喜んで協力する?これは自民党時代でも同じだったか。
いまだに中国に1兆円以上の援助を出す金も出すし技術もあげる様じゃ。
だから日本でもっと金を使えという訳です。
子ども手当は反対です。反日外国人の不正支給になるし、そもそもどこまで外国人のために銭金恵めば気が済むの?という意見なので。
国内の日本人の給料になるのならいくらでも予算を使うべき。

投稿: あましん | 2010/06/01 02:01

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