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2010/04/20

「徳之島への米軍基地移設に反対する小さな声」

 本山謙二さんからメッセージが届く。奄美の有志で徳之島への米軍基地移設問題について声明を出したというのだ。メンバーは、大島、喜界島、徳之島、エラブ、与論島の、奄美ゆかりの人々からなる。この時期、タイムリーで重要な内容だと思う。敬して紹介したい。


 「徳之島への米軍基地移設に反対する小さな声
                                               「未知のシマ会有志」

 私たちは、米軍・普天間飛行場の移設問題で、米海兵隊ヘリ部隊の「沖縄県外」の移転先として徳之島が急浮上している問題について、4月18日の「一万人集会」を機に声明(小さな声)を出したいと思います。
 この声明は、奄美の島々のように小さな声を結集させたものです。また、薩摩藩による奄美侵略401年目の始まりの声でもあります。こうした今だからこそ、非服従に徹しながら、非暴力の意思を、そして想像力を働かせ、小さな声だからこそ、大胆にあげよう!と、声明を出すことにしました。
 そもそも、辺野古への基地の移設ということ自体、沖縄への基地の一極集中という、もともとある「差別」を解消するのではなく、積極的に広げて行く方向を持つ自民党の政策でした。そして今回、米軍再編の流れのなか基地を縮小・撤退させるのではなく、民主党政権は、沖縄の「負担軽減」に名を借りて、全国各地に分散させようとしています。その候補地として、徳之島が浮上しました。

(つぶやき。その1:沖縄へ/奄美から)
 まず、考えなくてはならないこと。それは、同じ文化圏(琉球弧)にある沖縄に対し、徳之島への部隊移設問題に奄美は、どのように応えるかということ。なぜなら、私たちは、75パーセントの基地が、沖縄の島人(しまっちゅ/しまんちゅ)へ押し付けられていることを知っているからだ。これ以上、沖縄に負担を強いることはできない。そして、さまざまな声が交差する。

 「有力与党議員のそれぞれの地元ではなく、なぜいきなり奄美(徳之島)なのか?」
 「沖縄では、薩摩藩による侵略の歴史が想起され、ヤマトの琉球への差別は変わらないという論調も出ている。」

 徳之島からは、「同じ琉球諸島の島として、沖縄の痛みを分かち合える部分もあるのではないか?」という声も。
そこでまず、単純なレベルで沖縄を無視し、「反対」だと言うと、沖縄と分離し、ひたすら進められた「復帰運動」と同じ道を進むことになる。またヤマトの琉球への差別という視点に安易に同調した立場や、同じ琉球として痛みを分かち合うという立場をとれば、奄美の沖縄に対して相違する歴史や、それぞれの島の独自性は、消されてしまう。

(つぶやき。その2:未知のシマから)
 そもそも、私たちの会は、自らが「奄美」であると思う有志による集まりです。様々なきっかけからつながっていたものたちの中から、誰からともなく、自分たちの「奄美」のことをもっと知りたい、かかわりを深めたいという声が上がり、ともかく一度集まってみよう!ということから、この集まりは実現しました。そうした前提となっている「奄美」という言葉を考えるとき、一つの疑問がでてきます。それは、「奄美群島」住民の中に統一的な「奄美人」としての共通の捉え方がされているか?ということです。そこで会では、まず喜界島、奄美大島、加計呂麻島、請島、与路島、徳之島、沖永良部島、与論島などの島々の多様性を尊重することからはじめ、それぞれの島の「シマ人」という捉え方をしていると見るほうがより妥当ではないかということなどの理由から、当面「未知のシマの会」ということにしよう!という提案から名付けられたものです。それぞれの多様で具体的なシマからはじめ、未知へと旅する意志を持とうというものです。だからシマの声に耳を傾けたい。

(つぶやき。その3:シマの声)
 徳之島も昨今の不況の中、仕事の欲しい若い層からは賛成意見が多いと聞きます。生活かかっていますから当然の声です。「補助金が入る!土建工事が増える!航空券が安くなれば帰省しやすい!観光事業が盛んになる!」などの声が聞かれます。

 そもそも、辺野古への基地の移設ということ自体、沖縄への基地の一極集中という、もともとある「差別」を解消するのではなく、積極的に広げて行く方向を持つ自民党の政策でした。そこでターゲットにされたのが、平均所得が、全国670市中668番目であった名護市でした。そして、その名護市でもさらに所得差のある東側の辺野古への基地移設でした。その流れで考えるならば、2005年の奄美の一人当たりの平均所得、197万3千円というデータは重要な意味をもちます。(『県民経済計算』より)

 日本全体で見ると、05年の平均所得は、約288万円であり、沖縄県は、鹿児島県が約227万円なのに対し、約202万円でした。つまり奄美は、沖縄県の平均よりも低い水準であることがわかります。
 ということは、今回の移設は、まず沖縄本島のなかで、所得の低い名護市へ、そして東側の辺野古への移設。そしてより貧しい奄美の、さらに徳之島へという構図が透けて見えます。弱者の立場から考えるという民主党政権ですが、結局は、「県外移設」という名目で、より貧しい地域へと暴力的に基地を押し付けていると言えるでしょう。貧しい者への圧迫。これは、単に奄美の問題ではなく、貧困率が上昇している日本社会を考えると、明日の私たちの問題でもあります。
 そしてその地域では、辺野古で見られたように「YES!.NO!」が地域の問題として押し付けられ、人々が内部で争い、暴力的なまでに共同体に深い亀裂を与えます。こうした構造である限り、結局、最終的に残るのは「差別」と「暴力」だけと確信します。
 辺野古への基地の移設という、沖縄への基地の一極集中という、もともとある「差別」を解消するのではなく、積極的に広げて行く方向を持つ自民党の政策に反対すると同時に、米軍再編の流れのなか基地を縮小・撤退させるのではなく、より貧しいものへ負担を強いるような民主党政権のやり方にも深い憤りを持って反対します。
私たちは、基地を誘致せずに、それぞれの島々が自立することを願い、非服従に徹することで、非暴力の意思を、そして想像力を働かし、シマから「基地のない世界」を真剣に夢想しながら、小さな声だからこそ大胆にあげよう!と、今回、声明を出します。

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コメント

興味を持って読みました。「未知のシマ会」とは、いい名前ですね。

投稿: 水野   | 2010/04/21 02:07

水野さん

お返事遅れて申し訳ありません。
「未知のシマ」。「道の島」のモジリですね。
はっとさせられました。

投稿: 喜山 | 2010/05/04 09:47

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