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2010/04/11

401年問題

 4月11日現在、普天間基地の移設問題について、その一部を徳之島に移設するという案は現実味を帯びてきた報道がなされている。

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題で、米海兵隊ヘリ部隊の移転先として徳之島が急浮上している。「沖縄県外」への移転を目指す鳩山由紀夫首相の「腹案」とみられる。(「南日本新聞」)

 ぼくがこの問題でもっとも考えあぐねるのは、同じ琉球弧にあり沖縄へ親和感を抱く者として、奄美は徳之島への基地部分移設問題にどのように応えるかということだ。それは、沖縄の島人負担が相当なものであるのを知るなら、それを引き受けたい気持ちが心情的に働くということだ。少なくともそうした声がなければ、やむを得ない理由があったにせよ、敗戦後の占領統治を経て、沖縄とは分離行動を起こし、しゃにむに復帰へと躍起になった奄美を一歩も脱していないと思えるからだ。

 4月6日の南海日日新聞では、「「地元ないがしろ」と怒り」という見出しで、「徳之島へのヘリ部隊の大部分移設」へ向けた政府の行動があるとする報道を受けて、住民無視であるとする地元の反撥の声を挙げているが、ぼくが注視するのは、そこに「沖縄の痛みを分かち合える可能性」という文言だった。

 これに対し、同市の会社員男性(47)は「難しい問題。政府には早急に公式見解を示してほしい」としながらも「同じ琉球諸島の島として、沖縄の痛みを分かち合える部分もあるのではないか」と、移設に一定の理解を示した。

 ぼくはこの声を読み、安堵するように心が動く。こうした心情を奥底に持たない反対運動は虚しくすら思える。3月28日には徳之島で基地移設反対集会は4200人の規模に上ったと伝えられる。ここにぼくも行きたいと思うが、一方で、その場で弁を奮った自民党議員の小池百合子は、ツイッターで、

明日は鹿児島・徳之島へ飛びます。米軍基地の徳之島への移設反対郡民大会出席のため。徳之島町、伊仙町、天城町はすでに反対決議済み。ちなみに自民党は現行案です。

 こう言明している。「現行案」を提示する小池のツイッター・アカウント名が ecoyuri なのは鼻白むしかないが、問題は小池を反対集会の演説に立たせたということだ。ぼくが主催者なら、小池を招くことはありえない。奄美は、こうした見識を持った反対をすべきではないのか。

 しかしそれなら奄美は沖縄への親和感から基地負担を引き受けるべきかと言えば、そうすべきだとぼくは言い切れない。ぼくは基地を引き受ける徳之島から声を発しているわけではなく、地元の住民の声がまず無ければならないと思う。しかも、一個の人間性に基づいた政治的な体制は社会主義国家の推移を振り返っても、まるで反対の結果しかもたらしてこなかった。

 徳之島でも賛成の声はあるが、それももっぱら経済的な理由に依るものだ。それが理由であることは理解できるし、ある意味では、奄美が復帰運動をした際と変わらない根拠だと言えよう。近代奄美の負荷の問題は現在も終わっていない。

 政府は、普天間基地移設問題の最後の砦を「県外」と見定め、もっともやりやすそうな場所として徳之島を選択しているように見える。というか、そのようにしか見えない。しかし、徳之島は大和の異集団とみなされた、琉球(呼び方はともかく)の一員にあり、薩摩の琉球侵略によって、大和圏内に入れられながら、非大和とみなされてきたところだ。内側からみれば、徳之島への移設案は、県外だが圏内への問題を浮上させる。問題を琉球圏で処理する動きは、沖縄の基地問題を国内化させないという文脈を生み出すのだ。

 ここから見れば、日本の歴史的な負荷を、琉球を始めとする少数者に背負わせるという近代の限界を強化してまうことになるだろう。そして、島人から見れば、あの、虐げられて当たり前という諦念を永続化させて、失語を増産し奄美をふたたび沈みこませてしまうしかない。

 基地は撤去が理想である。それには段階が必要であるとして、国外、県外の選択肢がやってくる。そのビジョンは見えるだろうか。

 引用した南海日日新聞の記事の横には、17日に鹿児島で基地移設の反対集会が開かれてることが書かれている。

政府に求められているのは普天間飛行場の無条件撤去、基地のない沖縄を目指す本腰の対米交渉である。

 ここに日本が主権国家であるかどうかのひとつの部隊があり、それを改めてぼくたちは見せつけられている。奄美もどのような声を挙げるのか、試されている。これは奄美の401年問題である。


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コメント

基地なくなってしまえばいいのに。
戦いも戦争も・・・

どこに押しつけるかじゃないんですよねきっと。
でも、それが現実なんでしょう。
住民でもないわたしが言っても、空論に過ぎませんが。

投稿: kemo | 2010/04/11 20:30

下記に「徳之島案」記事アリ。
いろいろ工作がなされている模様。
牧野と徳田は近い関係だったようで。
http://www.kamiura.com/whatsnew/news.html#396

投稿: kayano | 2010/04/12 12:50

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