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2009/12/24

「鹿児島と沖縄の経済交流」

 鹿児島県と沖縄県の間で、「なぜビジネスが拡大しないのか」。そう問いを立てて、水野雄司は書いている(南日本新聞12月21日)。

①地理的隔絶性。隣県といっても海を隔てて700㌔離れている。沖縄にとっては鹿児島も、大阪、東京もビジネスの手間は大して変わらない。鹿児島にとっても地続きの近隣県との交流の方が進むのも当然だろう。
②市場規模。地域の特産品などは、大都市圏市場の開拓に力を注ぐ方が効率的だし、物流の中心も大都市圏である。
③東京を中心とした中央集権的な国家形態が取られていることによる中央志向。行政も経済も、大都市圏から経済資源を引き込んできた。隣県より遠い東京を向いていたのである。

 「今年は薩摩による琉球・奄美侵攻400年」と書き出し、そのイベントが各地で開催されているという認識を示しながら、最大の理由であるものに触れないのはなぜだろう。素朴に疑問が浮かぶ。

 ここで重要なのが顧客からの視点である。船で鹿児島から沖縄にかけて島伝いに渡っていくと、自然や文化がグラデーションのように変化していくのを感じる。与論島と沖縄本島との県境は東京、とりわけ海外の観光客にとって意味を持たない。日本の南端として一帯的にプロモートしていく方が効果的ではないか。沖縄のリゾートと鹿児島の温泉という組み合わせも、非現実的ではないかもしれない。

 いずれにしても、交流宣言を具体的なプロジェクトとして形にしていくのはこれからである。その成果によって、沖縄本島と与論島との県境の見えない壁が(事実としてあるにせよ)、人々の意識から薄れていくことを期待している。

  「与論島と沖縄本島との県境」は、「東京、とりわけ海外の観光客にとって」という以前に、それ以上に、ぼくたちにとって「意味を持たない」。意味を消してしまいたい。にもかかわらず、壁だから困っているのである。

 「日本の南端として一帯的にプロモートしていく方が効果的ではないか」というのは、ぼくもそう思う。ただ、こんなことを感じた。先日、法政大学で行われた「日本にとって沖縄とは何か」シンポジウムで、牧野浩隆が、「日本にとって沖縄とは何か」という問いに対して、「日本のレパートリーが増えた」と答えるのを聞いて、なんとも切ない気持になった。牧野はマッカーサーやトルーマンの肉声をテープで流して聞かせてくれたが、そこに沖縄の命運を左右したものを生に触れるように万感の思いを込めているのが分かったから、くさしたくない。けれどそこに万感の思いが込められているから余計に、切なくなった。

 沖縄が日本にプレゼンテーションする。沖縄があれば日本のレパートリーが増えますよ、と。でも、沖縄って琉球って、そんなに小さいか。沖縄は琉球は、小さいけれど、もうひとつの日本ですよ。くらいあってもいいのではないか。もちろん、仲里効 が言うように、牧野も47分の1ではなく、46対1のつもりでと言うのだから、発想はそうなのだと思う。でも、「レパートリーが増えますよ」では、沖縄が小さくなってしまう。そう感じてしまう。また、それを沖縄から言うのに切なさを感じたかもしれない。もしくは、「沖縄はいまブームで元気です」という発言が、どこか空々しく聞こえたからかもしれない。

 でももっと言えば、切なくなるのは、ぼくもそう言いそうだったからだ。沖縄にとって奄美とは何か。「一帯的にプロモートしていく」に際し、沖縄に向かって、奄美を加えたら沖縄のレパートリーが増えますよ。そう自分自身が言いそうなのだ。しかし仮に、沖縄のような開発の触手が伸びたら、いまの奄美が、奄美に経済を還流させしかもむやみに自然を壊さないでいることができるかといえば、その耐性はない、というか心もとない。それならいっそ、「一帯的なプロモート」はないほうがいいのかもしれない。

 去年、大島を訪れたとき、タツヤ旅館の喜入さんは、宿泊客に、沖縄は旅のプランが決まっているところ、奄美は旅の仕方も自分で見つけるところ、と紹介すると聞いて、それはいいと思った。そうなら、「見つけてごらん、奄美」とプロモートするのが合っている。交流は深まったほうがいい。でも、藤木さんが「奄美には昔の沖縄がある」というその差異は、大事だ。だから「一体的な観光誘客を」という牧野の提唱にも、差異を持ったほうがいいのではないだろうか。


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