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2009/10/08

「鹿児島でない鹿児島県」

 世代を超えて、甲(きのえ)に共感するのは次のような箇所だ。

 我々が鹿児島の人を紹介するとき「この方は鹿児島の方で枕崎からいらっしゃいました」と言ったとする。この場合、言った方も言われた方もさして違和感は持たないであろう。
 鹿児島の人が我々を紹介する際「この方は大島の亀津からいらっしゃいました」と言ったとする。言った方は、もちろん何も感じないだろうが、言われた方にはへんな感じで受け取る人とそうでない人がいる。それは「大島」ということばを喜界、徳之島、沖永良部、与論を含めた総称と認める人と、認めない人がいるからである。後者にいわせれば、亀津は徳之島にあるものであって、大島にはない。
「鹿児島の枕崎」が「鹿児島県の枕崎」の意味なら「鹿児島の亀津」という言い方も成立するはずだが、鹿児島県では誰もそうは言わない。それからすると、鹿児島というのは鹿児島県から奄美群島を除いた地域だということになる。すなわち、奄美群島は鹿児島県であっても鹿児島ではない。
 このように、我々は自己を示すことばも、他を示すことばも実にあいまいである。筆者は、これから奄美群島に関するあれこれを考えてみようとしているのだが、そのまえに、我々及び我々の周辺を指し示す適切なことばを探さなければならない。こんな面倒な地域が他にもあるだろうか。

 「奄美群島は鹿児島県であっても鹿児島ではない」。ぼくも、「こんな面倒な地域が他にもあるだろうか」と思う。でも、それは言い当てられないければならない。その固有性が構造として言えなければならない。そうでなければ、苦労はみな同じである、薩摩も鎌倉武士に抑圧された、AはBに征服されたという無現参照の前に、奄美が無化されてしまうからだ。困難を突出させるためではなく、その固有の輪郭を浮かび上がらせて比較し対話するために。それがぼくにとっての、「二重の疎外」(『奄美自立論』)の意味である。

 すると、ぼくたちは奄美について、「鹿児島でない鹿児島県」であると同時に、「沖縄県ではない沖縄」と添えることができる。 


『わが奄美考―奄美の心・方言・島唄』

Wagaamamikou

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コメント

同感しますが
    穏やかに  優しく してね。

  品川の 夜を思い出します。
    
   まーちゃん  が帰ってきたので
       なおさらです。

          
  たそがれ続きで  やっとこさで
      生きています。  よろしく

投稿: awa | 2009/10/09 00:58

awaさん

元気に戻られてよかったですね。
品川の夜のように、また飲み語らいたいです。みんなで。

投稿: 喜山 | 2009/10/12 10:03

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