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2009/10/14

「奄美の未来を考える集会」(南海日日新聞記事)

 10月3日、「奄美の未来を考える集会」の南海日日新聞の記事が載っている。

 【鹿児島総局】島津藩が1609年に奄美・琉球を侵略してから400周年に当たり、その歴史を見詰め直すとともに、奄美の未来を考える集会(同実行委員会主催)が3日、鹿児島市の県教育会館で開かれ、基調報告やシンポジウムなどがあったほか、奄美の歴史、文化、自然・環境に関する広報・教育の充実を求める決議を採択した。また、焼酎やミキなどが振る舞われる中、詩の朗読や島唄、新民謡なども披露され、奄美らしさをアピールした。

 いまは新民謡もあるんですね。知らなんだ。

 出身者を中心に鹿児島市で活動する「奄美を語る会」(世話人・仙田隆宜さん)の関係者らが企画し、奄美からの参加者も含めて約200人が詰め掛けた。
 出水市出身で歴史作豪の桐野作人さんが「島津氏の奄美・琉球侵略の背景と実態」と題して基調報告。奄美・琉球侵略の背景に11万8000石の隠知行(領地隠し)の発覚に伴う藩の財政難があったとする説や島津軍のよる蛮行ぶり、琉球王朝財宝の略奪などの実態を説明した。

 これを見る限りでは、「さつま人国記」での連載と同じ内容ではないかと思える。
 「島津氏の琉球振興400年」

 その上で、「『鹿児島県史は戦前の1939年に作られたもの。奄美・琉球侵略、琉球処分も語られておらず、新しい県史刊行に歴史研究者が使命を果たすべき」「鹿児島は明治以降東ばかりに目を向けていた。西の奄美・沖縄、アジアとの人、物、情報の流れを盛んにする視点を」と強調した。
 シンポジウムでは、鹿児島大講師の杉原洋さんを司会に、鹿児島国際太名誉教授の山下欣一さん、陶芸家の第15代沈壽官さん、南方新社代表の向原祥隆さん、龍郷町出身で団体職員の山田隆文さんが発言した。

 その中で、「文献に書かれた歴史だけでなく、人々の日常生活中にある歴史、先人の知恵にももっと目を向けてほしい」(山下さん)、「これからもいかなる圧政にも耐え続けたたくましく、万物にも優しいシマの民衆の心であってほしい」(山田さん)、「奄美には自分たちの文化を愛するパワーを感じる。鹿児島であることにメリットがあるのか、分県すべき」(向原さん)、「奄美の各島々とも『世界一』の目線でそれぞれの文化に磨きを掛けてほしい」(沈壽官さん)などの注文、提言が出された。
 集会の冒頭、伊仙町出身の詩人・茂山忠茂氏が自作の詩を朗読、シンポジウム後は徳山芳夫さん(龍郷町出身)と久保タカ子さん(喜界町出身)が「徳之島節」など島唄を披露したほか、新民謡の演奏もあった。

 県史の改訂は現実的で重要な課題であるに違いない。しかし、「歴史研究者が使命を果たすべき」という、この、「歴史研究者」を誰が担うのかを考えると、暗澹たる気分にならざるをえない。わざわざ憂鬱になる必要はないとするなら、ここでいう歴史研究者は、薩摩史観に思考を乗っ取られておらず、抑圧もされていないのでなければならない、と思う。そしてそうなら、昨日の「直轄支配化の奄美 西郷隆盛」を踏まえても、独自に作成するしかないのではないだろうか。自家製奄美史を。


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コメント

来月、琉球・山川港交流400周年イベントが開催されるようですよ。コーディネーターが原口泉氏。
侵略が交流に置き換わったようで何か変ですね。

http://okinawa-rekishi.cocolog-nifty.com/tora/2009/10/post-c9e6.html

投稿: kayano | 2009/10/15 15:21

kayanoさん

そうなんです。このイベントは、奄美にとってはオーバーヘッド的ですね。見過ごすことはできないと感じます。

投稿: 喜山 | 2009/10/18 21:09

下記の「琉球・山川港交流400周年事業の趣旨」は、部外者のワシでも欺瞞に満ちていると思います。

http://ry400.com/outline.html

アコウの木が琉球・山川港の友好の証にすり返られてしまってます。「約270年に亘り続いた琉球・山川港の交流は、日本の歴史を変える大きな原動力となった」なんてよく書けるなと思いますよ。侵略、侵攻、搾取とかいうマイナスの単語はひとつも見当たらないのです。まるで歴史を捻じ曲げる意図で書かれたかのように感じてしまいます。
この趣旨文からは、奄美がすっかり抜け落ちてますがね。

投稿: kayano | 2009/10/19 13:29

kayanoさん

ご指摘ありがとうございます。そうなんです。
何にも無かったことにしようよ。そう聞こえてしまいます。

投稿: 喜山 | 2009/10/20 08:20

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