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2009/09/19

「怪傑耶茶坊」

 「怪傑耶茶坊」という映画があったそうだ(「南海日日新聞」2009年9月11日」)。

 1609(慶長14)年、薩摩勢は奄美へ攻め入った。しかし、島の人々の激しい抵抗に遭い、いったんは和解を約束する。ところが代官の新殿と荒川は約束を破り、村の長・耶太加郡を謀殺して島を支配下に収めた。さらに折は、耶太加郡の娘・思益(めます)に関係を迫り、拒んだ彼女を斬り殺す。思益の兄・耶茶は怒り、.唐手で荒川を倒して父と妹の仇を討った。お尋ね者となった彼は、山中に身を隠しながち神出鬼没の活躍で抵抗する。
 薩摩勢は一部の島人を手先に使って暴政を敷き、黒糖搾取を続けた。だが最後は耶茶が島の人々率いて決起し、薩摩支配を打ち破る。

 もちろんこれは史実ではない。大島の伝承の屋茶坊を題材にヒーロー像を構想したものだ。
 記事を書いている岡山市在住の映画研究家、世良利和は、

 薩摩による奄美・琉球への侵攻と属領化は、その後の日本の歴史や外交政策の根幹にかかわる大事件だった。けれどもこの事件を題材にした映画は、ほとんど見当たらない。

 として、この「怪傑耶茶坊」が1609年にモチーフを採った唯一の劇映画ではないかとしている。世良は、

 薩摩の侵攻からちょうど400年を経たことし、奄美でのリバイバル上映が実現しないものだろうか。

 と結んでいる。確かに、観てみたいものだ。


 ぼくは、史実にはなかったフィクションであるにしても、薩摩の支配を打ち破るという大事ではなく、ウンタマギルーのような、ヒーロー物語のほうが、共感できると思うが、それより切実なのは、こうした物語がぼくたちには必要だということだと思う。最近、読んでいる安達征一郎の作品はそうなりうるだろうか。あるいは、遠田潤子の「月桃夜」はそうなるだろうか。物語がほしい。言葉でも、映像でも。奄美はまだその姿を氷山の一角ほどにも現していないのだから。

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コメント

初めまして、映画好きの奄美2,5世です、「月桃夜」が映画化されたら嬉しいですね、実現性は高いんではないでしょうか、清当済の英雄ものとか清眞島のやくざものとかが映画化されたら観てみたいです。

投稿: 伊喜与穂之兵屋 | 2009/10/01 15:26

伊喜与穂之兵屋さん

映画、やっぱり観たくなりますね。

> 清当済の英雄ものとか清眞島のやくざものとか

なるほど。ぼくは、丸田南里もラインナップに入れたいです。(^^)

投稿: 喜山 | 2009/10/01 22:36

丸田南里も面白そうですね、幕末の薩摩を「後ろ側」からの視点で描いたものを見たいです、あと第二次大島征伐を
難具母里原側から描いた戦記物も見てみたい、高嶺剛が「運玉儀留」をウチナー口でやったのように島口で日本語字幕を付けると面白そうな作品になりそうです

マジアニョを描くことで戦後沖縄から疎外され、オーバーラップするかたちで当済を描がき、薩摩から収奪された歴史を絡ませた作品を観てみたいです、ちなみに当済の直系の子孫が眞島だそうです(傍系の子孫からの聞き取り)

投稿: 伊喜与穂之兵屋 | 2009/10/02 14:11

伊喜与穂之兵屋さん

> 高嶺剛が「運玉儀留」をウチナー口でやったのように島口で日本語字幕を付けると

この沖縄の方法を奄美の方法に置き換えるとしたらvどうなつでしょう。考え甲斐がありそうです。

奄美テーマの映画、素材はいっぱいあるんですね。

投稿: 喜山 | 2009/10/06 21:51

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