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2009/07/26

『大奄美史』をバイブルから古典へ

 8月に、昇曙夢のあの『大奄美史』が南方新社から復刊されるそうだ。

来月、昇曙夢著「大奄美史」(「南海日日新聞」2009/07/18)

 「奄美史のバイブル」として知られる昇曙夢(1878~1958年)が著した「大奄美史」が8月、復刊される。本書は先史時代から近代までの奄美史をつづった。ことしは薩摩軍の奄美、琉球侵攻400年。奄美への注目が集まっている中、待望の復刊といえる。
 昇は奄美大島実久村(現在の瀬戸内町)生まれ。郷里の小学校を経て96年、ニコライ正神学校に入学。雑誌「正教時報」主筆、ニコライ露語学院長。ロシア文学に関する著述翻訳多数。ロシア研究でも顕著な功績を残した。

 「大奄美史」は①奄美大島の先史時代②琉球服属時代③薩摩直轄時代-など6編と奄美諸島年中行事(付録)で構成。「奄美の人々への的確な提言と忠告の書であり、奄美人への類まれな贈り物」(山下欣一・鹿児島国際大学名誉教授)。
 本書は1949年、和泊町出身の武山宮信が起こした奄美社が最初に刊行。次いで原書房が79年に出版したが、いずれも絶版になっており、入手は困難。今回、南方新社(鹿児島市)が遺族の了解を得て復刊することになった。
 本書は8月12日まで予約を受け付けている。予約特価は8960円(税込み)。問い合わせは電話099(248)5455南方新社へ。

 復刊は嬉しい。手元に置こうとすれば、オンデマンド版があったが、高価になってしまう(もっとも、今回も安価というわけにいかないのだけれど)。ぼくは、奄美社版も原書房版も、国会図書館で読んできた。

 ただ、それとは別に、この記事は「『奄美史のバイブル』復刊へ」と題されるのだが、『大奄美史』が「バイブル」だというなら、それはぼくたちの課題なのではないだろうか。ここは本来なら、「『奄美史の古典』復刊へ」と言うべきところだろう。

 『大奄美史』は、奄美には語るべきことがあることを教え、「奄美同胞」という表現で奄美人という自称の可能性を示唆した書であり、それは今でもぼくたちへの励ましであり続けているが、『大奄美史』によって奄美の「二重の疎外」を克服することはできない。ぼくはこれをバイブルとは呼べない。

 『大奄美史』をバイブルから古典へ。それが、この復刊から受け取る課題だ。


 

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