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2009/05/16

「琉球弧の音楽」

 早稲田で、新城亘の「琉球弧の音楽/概説-奄美・沖縄・宮古・八重山の歌を聴く-」を、聞いた。

 音楽を通じて琉球弧を縦断できることは滅多にない。琉球弧の音楽の全体像を体感する絶好の機会だと思ったのだが、新城は、三線を弾き歌を歌い解説も行うので、一気に伝わってくる。なんとも贅沢な時間だった。

 八八八六調の琉歌を主体にし、ドミファソシドの琉球音階からなる沖縄島とその周辺の島の音楽は、宮古、八重山では、五四五四、五七五七と詩型は琉歌を離れ、ドレミソラドの音階をとる。宮古、八重山ではP音が頻出するのも特徴。

 奄美については、レジュメに詳しいので引用する。

1.奄美大島・加計呂間島・請島・与路島・喜界島
 音域が広い/大胆な音の跳躍がある/裏声を使う/マゲやコブシ/こまやかな装飾音の入った三味線の奏法
 《行きゆんにや加那》

2.徳之島
 裏声や三味線の装飾も少なく、大島ほど技巧的ではない。素朴で骨太な印象の旋律。集団の掛け合い歌がある。口説は多種類うたわれており、琉球文化がグラデーションのようになっている。

3.沖永良部島・与論島
 沖縄本島と文化的、音階的にも同一で、沖永良部は琉球音階北限の島といわれている。奄美の歌、沖縄の歌の双方が入っていて、レパートリーは多彩。ただし奄美の歌は琉球音階化しており、元歌とは大きく変化している。三線も沖縄と大島の中間的な奏法になっている。
 《いちか節(いきんとう節)》

・特徴
 音階はほとんどすべて5音階。徳之島以北は本土にある民謡音階・律音階はあるが、琉球音階はなく、音階的にみたときには徳之島と沖永良部島の間に、本土圏と琉球圏とのボーダーラインを引くことができる。沖永良部と与論は琉球音階が支配的。
 歌詞は「八八八六」型の琉歌形式が主体。三線はほぼ同型であるが、より細い絃を使って、高く調弦する。撥(ばち)は竹を使い、装飾音を多用。シマ(集落共同体)の歌である。→歌掛けが近年まで残っていた。
 5つの「ない」(小川学夫)→楽譜、歌詞の固定、流派、プロ、正調がない。

 《稲すり節》《畦越い》など、奄美諸島から沖縄諸島、宮古諸島、八重山諸島にかけて、同一の歌が広く伝わっていることから、古層で琉球弧の島々はつながっていることがわかる。

 この要約は、奄美の幅をよく教えてくれる。奄美が、琉球と大和の幅のなかにあるということを。奄美のコーナーは持田明美が解説と三線と島唄を担当。四百年の歴史的背景とともに奄美を解説し、説得力があった。

 奄美のことがきちんと語られるというだけで、和む気持ちになるのだった。なんといっても圧巻は、「稲すり節」が、沖縄と奄美でどう演奏されているかを披露したところで、奄美と沖縄の差異と同一性が浮き立った。思わず、引き込まれて聞き入った瞬間だった。


 終わった後は、高田馬場の紅梅に同席させてもらう。なんか、琉球な場で、居心地よくいさせてもらった。野菜と焼うどんもとても美味しかった。みなみなさまに感謝です。

◇◆◇

 持田さんの解説を聞きながら、奄美の二重の疎外は、「似ているのに入れてもらえず、似てないのに一緒くたにされる」という言い方もできると思った。前者が沖縄で、後者が鹿児島。ただ、こうした言い方を続けていると、なにかいつも自分を被害者にしているような座りの悪さが伴う。であるがゆえの動きをせねば、と思う。



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