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2009/03/08

徳之島の固有性

 『徳之島の民俗文化』で松山光秀は、たとえば、「徳之島は奄美諸島の中では口説を最も多く継承している島である」と書く。こうした物言いは、奄美の島の個々の表情が際立ってとてもいいと思う。

 その徳之島の特徴を固有性にまで高めようとすればどう言えるのか。松山の視点はこうだ。

不思議な島

 「徳之島は不思議な島である」と言ったのは民謡研究家の久保けんお氏(故人)である。氏は『徳之島の民謡』(昭和四十一年、NHK鹿児島放送局編)で次のように述べている。「日本をひとつのスリ鉢と考えるとき、音楽文化の面では、徳之島がそのスリ鉢の一番底にあたる。専門的にいうと徳之島は日本旋法の南限であり、琉球法の国内に属する沖永良部以南とはっきり一線をひいている」
 別の言い方をすると、徳之島は北から押し寄せてきた日本旋法と南から押し寄せてきた琉球旋法を両手でがっちり受け止め、生のままでは上陸させなかったということにもなる。そのしたたかさに私は驚かされた。このしたたかさがスリ鉢の一番底にあたる古層を形成したのであろう。

 松山によれば、徳之島の固有性とは、琉球文化と大和文化をどちらかに傾斜することなく、独自性にまで消化した点にあると言っていることになる。

 言われてみれば、確かに大島は大和文化の影響が見られ、沖永良部、与論は琉球文化が色濃くなってゆく。その中間が徳之島だ。奄美を琉球と大和の交流拠点とすると、両者の表情の痕跡を強くとどめた交流拠点といえば、徳之島だ。この意味からは、奄美とは何かに対する回答のひとつは、徳之島をサンプルに見ることで得られるのかもしれない。


『徳之島の民俗文化』4

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