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2009/03/02

「対称性の自発的破れ」と琉球弧

 2008年のノーベル賞で、南部陽一郎の授賞理由が「対称性の自発的破れ」の発見であると聞いて、思わず目を止めた。中沢新一は、高神と来訪神と精霊の世界の出現を「対称性の自発的破れ」によって説明していたので、いきなり身近な話題になった感じだった。

 ここでは簡単な例をとりあげて、「対称性の自発的破れ」を説明してみることにしましょう。完全な球体の物質をとりあげてみます。球体というのは、回転しても鏡に映してみても、まったく区別が一つきません。ですから、球体には完全な対称性が実現されている、と見ることができます。この球体の中心軸にそって、上と下から強い圧力を加えてみましょう。はじめのうちはなんの変化もおきません。それでもかまわずにぐんぐん圧力を増していきます。すると、ある時点で急激な、カタストロフィ的変化がおこります。
 球体が座屈をおこすのです。全体がぐずぐずっと崩れだして、すぐに変化がおさまります。崩れた部分は、一定の方向に分子の並んだ帯に変化して、それがぐるっとまわりを取り囲むようになります。

 こうして球体のもっていた完全対称性は壊れて見えなくなってしまいます。そしてそのかわりに、ずっと限られた低次の対称性しかもたない、新しいパターンが出現するのです。「対称性の自発的破れ」の機構は、物質のさまざまなレベルで発生しています。とくに素粒子のレベルでおきるそれは特別に「ヒッグス機構」と呼ばれてよく研究されていますが、興味深いことに、そこでは対称性の破れがおこるのと同時に、質量が発生するという現象が観察されています。
 心的エネルギーの領域でおこる「対称性の自発的破れ」でも、それとよく似た現象がおこっていることに、お気づきですか。スピリット世界をつくっていた高次の対称性が崩壊して、スピリットの一部が来訪神型の低次の対称性しか持たない神に変化をおこすのとまったく同時に、スピリット世界の内部から非対称性をもった高神型の神が、勢いよく外に飛び出すのです。(『神の発明 カイエ・ソバージュ〈4〉』

   Photo_2





























 高神的である海蛇としてのエラブや他の精霊たちで満たされている世界に、何らかの圧力が加わることによって、挫屈を起こし、対称性は低次になり来訪神になる。「対称性の自発的破れ」のとき、質量が発生するが、それは、高神になぞらえられる。そして、精霊たちが残る。

 中沢はそれをこう定式化している。

(多神教宇宙)=(高神)+(来訪神)+(残余のスピリット)

 そしてこの「多神教的な神々の宇宙の基本構造」を、琉球弧は瑞々しく保っている、と書いていた。心躍るというものだ。物質の根本を律する理論で、身近な来訪神や精霊のことを説明されるのでびっくりするのだが、しかし、とても理にかなっていることに思える。

 「多神教的な宇宙としての琉球弧」


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