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2009/03/07

徳之島の「オボラダレン」

 松山光秀の『徳之島の民俗文化』の「シマグチと私」から引用。

サットゥ クンナティ マタフェーカル問題ガイジティケーティ。
ウリヤ イキヤシュン事ガチ言チカ
「ナンブエヌ先生タヤ 殆ンドガ 鹿児島本土カラ キュームンナティ 
シマグチナヤ 歯ガ立タンレチ言ウル事ダレン。

サー クンナティ イキャシ トゥイクディガ ユタハンヤカ
ウイタウイタ 専門家ヌ立場カラ
キュウヤ 意見グヮ ティーチ 聞カチタボレ。

オボラダレン。

 これに対応させた共通語。

ところで ここで  また 大きな問題が  出てきました。  
それは どんな事かといえば
「最近の先生たちは 殆んどが 鹿児島本土から やってくるので
方言には 歯が立たない」と言う事なんです。

さあ ここで どのように 取り組めば よいのでしょうか。
皆々様 専門家の立場から
今日は 意見を ひとつ 聞かしてください。

ありがとうございました。

 ここで、まわらぬ舌で与論言葉を対置させてみる。かなり怪しいのはご勘弁。

(ところで※)フマナティ マタ、ウプシャル問題ヌ イジティキチャン。
ウリャー イチャルフトゥカチーボー、
「ニャマガタヌ先生ターヤ、鹿児島本土カラ キチュルナティ
シマヌフトゥバヤ シーナラダナ、チュールフトゥエービュイ。

サー フマナティ イチャシ トゥイクディガ ユタシャンガ
ウレーターウレーター 専門家ヌ立場カラ
シュウヤ 意見グヮ ティーチ 聞カチタバーリ。

トウトゥガナシ。

 ※「ところで」の与論言葉が分からない。


 与論言葉から徳之島の島口を眺めると、似ているというのが第一印象で、それから、大島の島口よりは弱いが、五母音化の印象を受ける。

 五母音化の意味は、「聞カチタボレ」のように「エ、オ」音が見られるということだが、その他にも、与論言葉の「イチャ」が「イキャ」となるように、メリハリのいいカ行が頻繁に出てくることに感じる。

 徳之島の島口で、いまぼくがもっともその語源を知りたいのは、「ありがとうございます」の意である「オボラダレン」である。

 与論の「トウトゥガナシ」と沖永良部の「ミフェディロ」は、一見、全く違ってみえるが、「トウトゥガナシ」は、「尊」を軸に、「ミフェディロ」は「三拝」を軸に生まれていると見なせば、どちらも祈りの場面を根拠にしているという深層の同一性を見出すことができる。それは、石垣島の「ミーファイユー」が「三拝」、沖縄島の「ニフェーデービル」が「二拝」を軸にしているのと同じであると思う。

 そうであるなら、「オボラダレン」も同じく祈りの場面の言葉を根拠にしていると仮説してみるのに無理はないだろう。徳之島の島口に全く通じていないので覚束ないアプローチになるのはご容赦いただきたいが、「オボラダレン」は、「言ウル事ダレン」とあり、また「オボラダレン」は、「オボラダーニ」と言われることもあるように、「オボラ」と「ダレン」に分けることができる。

 そこで、「オボラ」が分かれば解けるのだが、「オボラ」を三母音化すると、「ウブラ」になる。「ウブラ」を祈りの場面に引き寄せると、「ウガミ(拝み)」が思い浮かぶが、「ウブラ」と「ウガミ」の距離を縮めるのは難しい。

 「大島地区「方言の日」」をみると、喜界島の「ウフクンデータ」も語源が分からない。たぶん「ウフクン」と「データ」に分けられるが、「ウフクン」の「ウフ」は「大」の意味だろうと想像する。これも祈りの場面の何かを根拠にしていると見なす。もしかしたら、聞得大君(ちくいうふじん)にあるような、「大君」の意味なのかもしれない。 

 で、また戻って、「オボラ」。
 
 いつか解きたい。もう解かれているなら教えてほしい。知りたい。
 大島の「アリガサマリョウタ」は、「有り難し」の影響が濃厚だが、祈りの場面での「トウトゥガナシ」は健在である。徳之島や喜界島の「ありがとうございます」を、祈りの場面を根拠に謎解きできれば(「祈り」でなければならないわけではないが)、違うと言われがちな奄美の島々の言葉に深層の同一性を見ることができるのだ。


 ところで、下の方言マップによると、「おはよう」、「こんにちは」、「こんばんは」の与論言葉は「フガミャービラン」で喜界島は無いことになっているが、与論も無いと思う。「フガミャービラン」は、「ウアガミアビラン」ともいうが、「ごめんください」の場面で最も使われるもので、「おはよう」から「おやすみ」までに該当させるのは無理があると思う。たとえば朝、子どもが起きてお母さんに「ウアガミアビラン」?。いやそれはないでしょう(苦笑)。

Hougenmap_2

























『徳之島の民俗文化』3

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コメント

喜界島の「ありがとう」は「うふくり」で,「ありがとうございました」が「うふくんでーた」,「ありがとうございます」が「うふくんでーる」です。恐らく,「御誇り」ではないかと思っています。
「うれしい」を「ほーらさん」と言い「うれしさ」を「うっくり」と言います。「ほーらさん」は奄美大島も同じ言葉だと思われます。これら全て「御誇り」が原義でないかと感じているのですが。どうなんでしょうか。


投稿: shimanchu | 2009/03/07 22:32

 徳之島の「オボラダレン・オボレダーニ etc」の「オボラ・オボレ・オボラ」も、「御誇り」じゃないでしょうかね。徳之島の一部には「オホクリ」もあるわけですから。
 そうすると、この「誇り」。。。与那国の「フガラッサ(誇らしや)=ありがとう」と共通だと思いますがどうでしょうか?
 また、宮古島東部は「タンディガタンリィ」ではなく「誇らし」系のようですね。

投稿: 琉球松 | 2009/03/08 21:09

shimanchuさん

ありがとうございます。「御誇り」ですね。
これはお聞きしないとさっぱり分からないことでした。
とうとぅがなし、です。


琉球松さん

与那国とはつながりそうですね。
オボラダレンともつながるか。
しばし頭のなかでころがしてみます。

それにしても琉球弧つながりが見えてきて嬉しいです。

投稿: 喜山 | 2009/03/08 21:54

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