「沖の島」七つ
二年あまり前、加計呂麻島と波照間島は地名として同一だと気づいて(思い込んで)以来、「ぱてぃるま」という方音と「沖の島」の意味に惹かれて、折にふれ、「ぱてぃるま」とつぶやくうちに、いくつかの「沖の島」を見つけて(思い込んで)きた。
波照間島、加計呂麻島、鳩間島、多良間島、来間島、慶良間(諸)島、そして昨日の、古宇利島。計七つだ。
もちろんぼくの仮説なのだけれど、ぼくはまだ「沖の島」はあるのかもしれない、と思うが、音韻の変化を軸に整理してみる。
◆五母音化
◇加計呂麻島
patiruma > hatiruma > hakiruma > kakiruma
◆語頭の脱落
◇多良間島
patiruma > atiruma > tiruma > tarama
◇来間島
patiruma > atiruma > kiruma > kurima
◇慶良間(諸)島
patiruma > atiruma > kiruma > giruma
◆語中の脱落
◇鳩間島
patiruma > patiuma > patuma
◆語中、語尾の脱落
◇古宇利島
patiruma > pitiruma > piiruma > pii > pi: > fi:
ぼくの勘違いに過ぎない可能性を棚に上げると、色んな連想が過ってゆく。波照間島に近い鳩間島は、語中を脱落させることで差異化を図った。それから琉球弧に添って北上した宮古島、沖縄島周辺では、語頭を脱落させるという共通性を持ちながら、差異化を図っていった。その存在を意識してか、沖縄島の北部では、極限まで脱落を進め、自然音にまで近づけた音で「沖の島」の系譜をつくった。そして興味深いことに、琉球弧北部に北上した地点では、音の脱落なしに波照間をやや五母音化させた島名が定着する。
なぜ、加計呂麻は語音を脱落させずに、波照間と同じ音節を保ちながら、五母音化と転訛で島名を成り立たせたのだろうか。加計呂麻島の存在感のなせる技だろうか。
ここには、琉球弧の南と北をつなぐ物語の気配が漂っていて、心躍らせてくれる。そう思いませんか?
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