「どぅなん」と「諸鈍」
「山 十山(だま とやま)」(「雨乞いの歌」与那国島)など、与那国島ではy音がd音に変わる例が見られる。代表的なのは、「どぅなん」で、これは「ゆなん」と同じである。「ゆなん」は三母音化すると「どぅなん」になると解してみる。
この、y音がd音に変わる例は与那国島でしか見られないと、沖縄言説で言われるけれど、そうではないかもしれない。
加計呂麻島の諸鈍は、三母音化して読めば、「しゅどぅん」だが、これは、「しゅゆん」ではないだろうか。「しゅゆん」、「汐が寄る」という意味だ。
仮説メモ
与那国/どぅなん/ゆなん/砂
諸鈍/しょどん/しゅどぅん/しゅゆん/汐寄
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コメント
おお!なるほど!
うちの諸鈍出身者にも教えてあげよう。
言葉って、おもしろいですね。
投稿: 大久保 | 2009/01/22 09:25
大久保さん
面白がってくれてありがとうございます。
諸鈍は古代的な地名の響きが好きなのですが、言葉からすると「しゅゆん」ではないかと思えるのと、なんでもありさんのブログで繰り返し諸鈍の光景を見るうちに、やっぱりそうかもと思ったのでした。
諸鈍出身の方に、汐の寄る所という意味が説得力あるか、聞いてくださいな。
投稿: 喜山 | 2009/01/23 08:34
スタッフにも聞いてみたところ「なるほど!たしかに!」という反応でした。
“諸鈍ぬ長浜に打上げ引く波やヒヤルガエ
ハレ諸鈍ぬ女童ぬ笑い歯茎”
ですもんね。波は関係しているんだと思います。
さらに、「花富(けどみ。ネイティブ発音『きどぅん』)は『き』が寄るのかしら?」という話をしていました。『き』ってなんだ(笑)
投稿: 大久保 | 2009/01/23 09:39
大久保さん
コメントありがとうございます。
「諸鈍ぬ長浜」が「汐寄る長浜」になるって素敵ですね。
「花富」は「きどぅん」なんですね!「かきるま」と「ぱてぃるま」が同じであるように、「きどぅん」は、「てぃどん」の音をとりえます。ところで、竹富島は方音で「てぃーどぅん」というんです。ひょっとしたら、花富と竹富は同じ意味かもしれません。
花富はどこだろう?地図を見てみよう。どんな地形のところか聞いてくださいな。お願いばかりですみません。
投稿: 喜山 | 2009/01/23 09:46
面白くなってきましたが、「汐寄」には異論があります。
「諸」は「汐」の意でいいとして、「鈍(トン・トゥン・ドゥン・テン・ティン・ティヌ・テム・ etc 」は牧野哲郎さんの仮説を参考にすれば「港」ではないかと思います。つまり「諸鈍」は「汐を見る港・汐待ちの港」ではないかと。。。
「諸鈍」は琉球王朝時代までは、少なくとも加計呂麻のメイン港だったわけで、ある時代には大島全体の入り口の役目を持っていたかもしれません。
以下、「テン」系と考えられる地名を探してみました。
喜界「嘉鈍」、奄美島「宇天・一屯(イットン)・屋鈍・管鈍・花天」、加計呂麻「諸鈍」、沖縄「汀間・天仁屋・一名代(ティンナス)・運天・天願・馬天」
探せばもっとあるかもしれませんが、宮古八重山にないようです。
投稿: 琉球松 | 2009/01/23 22:20
琉球松さん
なるほど。そうなのかもしれませんね。
d音がy音になるのは、語頭だけの現象であると専門家も見ているようです。
諸鈍は、港らしい位置になりますしね。
ただ、なんとなく「諸鈍」の語感は古代的な感じがあるのが、他の意味の可能性に誘うのかもしれません。
投稿: 喜山 | 2009/01/25 17:56