「鈍」は「港」か
「どぅなん」、つまり「ゆなん」とのアナロジーから、「諸鈍」を、「汐」が「寄る」と解したら、琉球松さんに「鈍」は「港」では?とアドバイスされ、なんかそれがいい意味で引っかかっている。
琉球松さんの指摘は、
「鈍(トン・トゥン・ドゥン・テン・ティン・ティヌ・テム・ etc 」は牧野哲郎さんの仮説を参考にすれば「港」ではないかと思います。
「鈍」は「港」だろうか?
与論島で、「港」を意味するのは、「供利」と『めがね』の浜の「トゥマイ」だ。
供利は、方音:トゥムイだから、
トゥムイ:tumui
トゥマイ:tumai
両者の「u」「a」は、同一行内の転訛として理解できる。
母音は重合すると、長母音化するから、
ui > u:, i:. ai > o:, e:
であり、すると、
tumui > tumu:, tumi:
tumai > tumo:, tume:
これが、母音の重合として、こんどは促音便化すると、
tumui > tumu:, tumi: > tumm
tumai > tumo:, tume: > tumm
となり、
tumm > tun
と撥音便化すると想定してみると、トゥムイ、トゥマイは、「トゥン」になりうることになる。
もうここからは、琉球松さんの挙げた「鈍(トン・トゥン・ドゥン・テン・ティン・ティヌ・テム・ etc 」は射程圏内だ。
この考え方が魅力的なのは、
喜界「嘉鈍」、奄美島「宇天・一屯(イットン)・屋鈍・管鈍・花天」、加計呂麻「諸鈍」、沖縄「汀間・天仁屋・一名代(ティンナス)・運天・天願・馬天」
の意味が分かるとともに、大久保さんに教えてもらった加計呂麻の「花富(きーどぅん)」にも通じる。
そして、竹富島(てぃーどぅん)の意味に届くのではないかと思うのだ。
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コメント
「トマリ」と繋がる。。。これはワクワクしますね。
「ティン・トゥン etc」は「トマリ・トゥマイ etc」の短縮型と言えるでしょうか?
それと、「~富」系地名もあやしいですし、宮古島の「友利」ももともとは海岸線の部落ですね。
投稿: 琉球松 | 2009/01/28 15:26
琉球松さん
遅くなってごめんなさい。
トゥマイ、トゥマリからはティンやトゥンへの転訛は想定できると思います。
「友利」はトゥマイ系でしょうし、確かに「~富」系も確かめてみたいですね。
投稿: 喜山 | 2009/02/01 18:43
メガネのロケ地のひとつの浜は、ウァーチで、トゥマイは、ふよこ美容室あたりだそうです。昔は茶花漁港あたりも海中だったので、ありえます。90歳の祖母に確認しました。
投稿: パンカタワラビ | 2010/02/18 20:32
ちなみに、沖縄史でトゥンはほこらを意味し、神をまつる神聖な場所の意味であることは、ご存じですよね?
投稿: パンカタワラビ | 2010/02/18 20:35
パンカタワラビさん
ああ、ほこらの可能性もあるわけですね。
教えてくださりありがとうございます。
投稿: 喜山 | 2010/02/21 18:26