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2009/01/16

脱「島」願望

 脱島と書いてみたのは、近世期、飢饉や災害を契機に徳之島で頻発した、大島への脱島(だっとう)のことではなく、脱「島」(だつしま)と呼びたいような似て非なるもののこと。

 昨日、寒空のなか、東京銀座で、泡瀬干潟埋め立て反対のデモが行われている。知らなかった。

 自然の宝庫、沖縄・泡瀬干潟を守れ―銀座で集会とデモ行進

 埋め立てて計画していることは、

その泡瀬干潟を含む約187haを埋め立て、人工島にホテルやビーチなどを建設する計画が1987年に持ち上がる。

 でも、ここは、

泡瀬干潟は、沖縄市にある約266haの干潟で、南西諸島の中では最大級の広さを誇る。国の天然記念物4種を含む希少生物が生息し、ジュゴンやアオウミガメ等の餌場であると同時に、沖縄本島で最多の125種類の鳥類が確認されている。泡瀬干潟のように、貝類を中心とした多くの海洋生物が生息する場所は世界でも類が無く、世界の海洋学者からも注目されている場所である。

 デモの主催者は、

「埋め立て工事をしたところで、誰も得をしないし、工事を止めたとしても誰も損をしない」

 と、思わず立ち止まる発言をしている。

「若者の雇用拡大を実現する、といっていますが、以上の問題点を考えれば、その実現は困難である。現在工事が行われているが、工事の主体は本土ゼネコンであり、地元企業はほとんどが下請けである。また、04年度、05年度の工事で、沖縄市の土建業者(対象業者421社)の受注はわずか3社(04年2社、05年1社)であり、地域活性化、雇用拡大にもなっていない。」

 こうした構造は奄振と同じく資金は現地に還流していないが、しかし、奄振と同様、わずかでもいいから、ということだろうか。

沖縄県は、都道府県別の〈増加面積〉で初めて全国1位になっている。

 これは文字通り、島の面積ということで、臨海部の埋め立てによる結果だ。

 地元に資金が還流せず豊かな自然は破壊されるのに、それでも止めないのは、受注業者のあさってはともかく明日の食い扶持になるということと、明日はともかく、あさっての県の食い扶持が期待できるからということだろう。これがもしほんとうによいものなら、住民の意向を無視する格好の進め方は賛成しかねるが、それでも進めるということには別の欲求のあるのだろうか。

 そうやって思ったのは、脱「島」願望だ。四囲を海に面した島では、寂しさ、不安を感じやすかった。日本だって島国で同じなのだが、本州島はそれでも大きめであり、しかも「本土」という言葉を持っているので、その寂しさ、不安をふだんは感じずに済む。琉球弧を琉球弧たらしめてきた陸と海の緩衝帯である珊瑚礁を消してまで地面を拡張するのは、「島」を脱したい、島を脱出することによってではなく、島が島で無くなることによって、島を脱したい願望があるのだろうか。沖縄島は沖縄「島」でなくなりたいのだろうか。

 でも、書いて思うが、島が島でなくなるのも、たまらなく寂しい。


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