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2009/01/05

ユウヌ・ユルン・ユンヌ・かいふた・由論

 「ゆんぬ」とはどういう意味なのか、与論の歴史がその多くをそう語るように、分かっているわけではない。

 坂口徳太郎著『奄美大島史』によると、「與論島を現地ではユンヌとよんでいる。一説によると與論は島の義なり。古くは〈由論〉(ユロン)とも書き、支那人は?奴(ユウヌ島又はイウヌ島)と称す。何れ近世の文字なるべし」と述べられている。
 もと鹿児島県立図書館副館長の栄喜久元氏は、「文献上にあらわれている〝ゆんぬ″または〝與論〟に関する古い記録としては、『奄美大島史』によるもののほか、明治三十四年に冨山房から発行され『大日本地名辞典』(吉田東伍編)に中国の明人の書に〝?奴につくれり〟とあり、また琉球の『中山伝信録』の中に三十六島のうちの東北八島の一つとして〝由論〟の名が出ている」と述べている。

 ところで前述の『奄美大島史』の中の一説とはいつ頃のだれの説であるか、『大日本地名辞典』 の中の中国の明人とは何人を指すのか、『中山伝信録』 の中の由論というのはだれの説に基づくものであるか等々、まだ判明しない点も多いのである。
 それとともに、古代は言うに及ばず、中世紀以来、「ユウヌ」「ユルン」「ユンヌ」「かいふた」「由論」等と言われてきたこの島の古名については、確実な文献資料も極めて乏しく、統一的な見解に基づく学術的定説もほとんどない状態である。今後学術的検証の積みあげによって、これら判明しない多くの課題が一日も早く解明されることを期待したい。(『与論町誌』)

 ユウヌに当てられている字は表示できないので、「?」としておく。この、ユウヌという音は、ユンヌと自称した、あるいた他称された音を「ユウヌ」として聞き取ったものだと見なせると思う。また、「ユルン」というのはどこに出てくるのか分からないが、「由論」と書かれた字を三母音で読めば、「ユルン」となるから、「由論」とともに生まれた音だと考えられる。

 ところで、坂口徳太郎は、「一説によると」と書いたわけではない。『奄美大島史』にはこうある。

與論島・・・・論は前説によれば島の義なり。古くは由論とも書き、支那人は之を?奴島と稱す。何の比より與論と書くや不明也、何れ近世の文字なるべし。

 坂口の言う「前説」とは、原秀四郎が「R'm' R'n' の語尾を有するもの」は「島嶼の義」ではないかと考えたことを指している。つまり、「與論」とは、「與」の島の意味ではないかと言うわけである。あの、「島の裁判官奮闘記」ジャッジの「与之島」と同じ解釈だ。

 しかし、もともとユンヌという言葉があり、そこにその音の類似性から、「与論」と当てたのがことの順番だから、「与論」自体の意味を探るのは、語源に接近することにはならないと思える。

 ぼくたちは、ユンヌについて考えてみるべきなのだ。


「与論イメージを旅する」3



 

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