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2008/08/21

ケンムンは奄美人のいちばんの馴染み

Kenmun_2

















(『南島雑話』)

奄美の人々が「ケンムン」という名で登場させた妖怪は、砂糖地獄の抑圧からの解放と自由を求めて人跡未踏の地に逃避を切望してやまなかった多くの人々の願望を象徴したのだろうか。そうすると、ガラッパにも似た妖怪の「ケンムン」は、砂糖地獄の副産物だったことになる。言いすぎだろうか。『奄美の債務奴隷ヤンチュ』

 これは、昭和五十年代にあったという奄美郷土研究会での「ケンムンは実在するか」という論争を受けた名護の言葉だ。ぼくはヤンチュをすくい上げようとする名護さんの考察に異を唱えるつもりは全くないのだけれど、ここはケンムンの名誉のために書いておきたい。

 ケンムンは黒砂糖が登場するより遥か昔から奄美にいる。沖縄のキジムナーと同様、古くから奄美人と付き合ってきた。砂糖地獄の副産物がケンムンなのではなく、奄美人の副産物がケンムンと言ってもいいくらいだと思う。ケンムンは奄美人のいちばん旧い馴染みなのだ。

 ただ、薩摩支配下にあったとき、この妖怪が、そうなりたい願望の対象になったとしても不思議ではない。そういう意味では、ケンムン的になりたいという願望を、猿化騒動に見る気がする。




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