« 奄美とは珊瑚礁である | トップページ | あんまぁで与論話 »

2008/06/14

「ニ〇〇〇年七月のある夜」

 今夜は風もなく月も暗い、夜間の灯火採集にはかなり良い条件だ。ここ数年、この時期にはこの場所を主に夜間調査をしている。昨年やそれ以前の同月同日に飛来した虫たちを思い出し、今夜集まりそうな顔ぶれを想像しながらの準備は楽しい。日没の少し前に発電機を始動、すぐに水銀灯のランプがうっすらと桃色に輝きやがて特有のまばゆい照明に変わる。隣にセットしたブラックライトもスクリーンに反射して蛍光色を発している。数多く来る蛾のための毒瓶もチェック、三角紙も大丈夫、これで良し。

 虫好きでなくてもわくわくする気分が伝わってくる。ぼくも蛍光灯に集まってきたカナブンや蛾や、天井を張っているヤモリを思い出す。

 でも、島の現状を考察しながら、前田さんは書く。

 何十年か経た後、この場所でナイターをしてみたいものだ。蘇った森の種々のムシたちの飛来に驚喜できるだろうか、それとももっと何もいなくなってしまっているだろうか。もし、そうなっているようなら人間も快適には生きていないだろうなー。アレコレ思ううち、夜も大分更けてきた。今夜も面白い訪問者は来そうにない。そろそろ店じまいにしようか。

 ところで奄美大島で記載されている昆虫は約二千五百種。未記載種はそれ以上いると推定されている。島の生態系にかかわりのない生物はいないとするならば、この生態系の鎖を絶つことは自分の首を絞めること、子孫を繊やすことにつながる。そうだとは思いませんか。(『それぞれの奄美論・50』

 これが書かれてから8年経っている。あれから事態が変化しているという声は聞こえない。奄美の虫たちは元気だろうか。

 8年前との違いがあるとしたら、いまはブログで多くの人が、奄美や島々の便りを伝えてくれることだ。たとえば、「みどりの島・奄美」では、奄美の植物たちの今の姿、豊かな姿を伝えてくれる。美しさを捉えること、記録すること、そしてこうしてブログで伝えること。ぼくはこんな営みも、島の自然を守る力になっていると思う。想いを寄せる人たちが島の自然の実情を知っているということはそれだけでも力だと思う。


「ニ〇〇〇年七月のある夜」前田 芳之



 

|

« 奄美とは珊瑚礁である | トップページ | あんまぁで与論話 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/87956/41304706

この記事へのトラックバック一覧です: 「ニ〇〇〇年七月のある夜」:

« 奄美とは珊瑚礁である | トップページ | あんまぁで与論話 »