「天与の遺産」
暗い気分でこの原稿を書いていた夜(五月二十三且、NHK衛星テレビが「21世紀に残したい日本の風景」を放映していて、たまたまそれが(九州・沖縄編)。ベスト3は①沖縄のサンゴ硬の海②阿蘇山③桜島、だった。ゲストの高見知佳が、祖母の島である奄美大島(笠利町川上)を、自分のベストに挙げていた。どんなクスリよりも田舎とおばあちゃんの笑顔がクスリ、と言ったひとことが胸に沁みた。(『それぞれの奄美論・50』)
うん、たしかに胸に沁みる。いい台詞だ。
「どんなクスリよりも田舎とおばあちゃんの笑顔がクスリ」という言葉は、そうありたい関係を見せてくれていて奄美に関係なく共感できる。でも、この高見知佳の発言は奄美の人にとっては別の意味でも嬉しいのではないだろうか。それは、メディアを通じて、この世には奄美という場所があるということ、奄美が存在しているということを伝える言葉にもなっているからだ。奄美の島人にはきっとそんな喜びもあったろうとぼくは思っている。
中村さんは暗い気持ちでこの原稿を書いたというが、ぼくは嬉しいエピソードを知ることができた。感謝である。
「天与の遺産」中村喬次
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