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2008/05/15

「土着に根ざす」

 昨年(一九九九年)七月に名瀬市で開催された奄美・やんぼる広域圏交流推進協議会設立記念シンポジウム。奄美側から提起された沖縄経済新法適用論に対して、助言者の素数啓沖縄振興開発金融公庫副理事長は、沖縄自由貿易構想を例に「歴史の記憶」を対置した。同構想には、かつて貿易国家として栄えた琉球王国の記憶があるという意味である。
 奄美側にはその言葉の意味を理解できなかったようだ。沖縄経済新法適用論には、どのような「歴史の記憶」があるのか。復帰運動の過程で「北部琉球」であることを拒否し、「鹿児島県奄美群島」であることを声高に主張したのは奄美ではなかったのか。
 昨年一月に名瀬市で開催された日本島嶼学会特別研究会の場でも奄美側から沖縄経済新法適用論が提起されたが、沖縄側と言葉がすれ違っているのを感じた。それも奄美側に「歴史の記憶」が欠落していることに起因している。
 名瀬の皆さんの意見が、奄美を代表する意見であるわけでもないことを指摘しておく。(『それぞれの奄美論・50』

 議論の背景が分からないので正確に把握できているか心もとないが、前利さんが言うのは、「鹿児島県奄美群島」になることを選択したのは自分たちなのに、根拠薄弱に「沖縄経済新法」の適用を言うのは虫がいい。そういうことだろうか。

 この理解の正否は置くとしても、奄美自身が、

復帰運動の過程で「北部琉球」であることを拒否し、「鹿児島県奄美群島」であることを声高に主張したのは奄美ではなかったのか。

 と、問うことは重要だと思える。それなしに沖縄との対話の通路は開けないからである。

 それから、

 名瀬の皆さんの意見が、奄美を代表する意見であるわけでもないことを指摘しておく。

 背景は分からないものの、この指摘は本質的だ。沖縄であれば離島の方は、「名瀬」を「那覇」と置き換えて言うのが想像できる台詞だと思う。

 この指摘は正論だから本質的なのではない。いや正論に違いないのだが、これこそは島の原理だと思う。島人は、島が世界であり宇宙だと知っている。ことに諸島全体で政治的共同体を構築することの無かった奄美であればなおさら実感できることだ。いまでもぼくたちは、「奄美人」という器が充満していないのを知っている。

 前利さんは島の原理を言っている。それが本質的と感じる所以だ。


「土着に根ざす」前利潔




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