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2008/04/03

スマイルコンサート音楽のちからin与論島

 昨日、与論で、「スマイルコンサート音楽のちからin与論島」なるコンサートが催されたのを、江戸っ子マサさんのブログで知りました。

 「スマイルコンサート」

 なんで東京フィルハーモニー交響楽団が与論で、とびっくりしていたら、そこには与論らしい物語があったようです。

 ときは二年前の冬。
 何かに誘われるように、時化を乗り越えて与論島に到着したひとりの音楽家。
 タラップを降りるけれど、出迎えるのは雨と風。
 何やら苦難の予感、ずぶ濡れを覚悟。
 と、そこへ覚悟とは裏腹に拍子抜けするように、「お~い、乗ってく?!」の声。
 そして次の瞬間には、喜山康三さんの自宅へ招かれる。

「お~い、お客さんだよ~。」
奥様が昼食の用意をして下さる。
「そう、コントラバスやってるの!聴いてみたいなぁ。
え?弾いてくれるの?! ん、楽器なら学校の吹奏楽部にあるな。」
「あなた、そしたら池田さんのピアノ教室のサロンがいいんじゃないんですか?!」
「それがいいな!お、中学の音楽の先生が、
自前の楽器貸してくれるって!」
「あなた!それより夕方から会議じゃないんですか?」
「ん?キャンセルキャンセル♪」

 で、あっという間に即席コンサートが小さな島で催される。
 下手な紹介より、あとはブログで読んでください。

 「即席!コントラバス・ミニコンサート in 与論島」

 与論に降りた音楽家は、こう書いています。

与論島に行ったら、せめて砂浜で遊ぼう、とそれだけを考えて 降り立ったあの日。
あたたかい人情に救われ、お礼のつもりの演奏が皆さんに聴いていただけて喜んでもらえて、おまけに願っても叶わない贅沢までさせて頂きました。
みなさんの心意気、決して忘れません。
これからもみなさんと繋がっていたいです。
そして、また宴会しましょう!
ありがとうございました!!

 聞けばこれがご縁の昨日のコンサート。与論らしいストーリー。

 たとえば、去年の夏の帰省時、空港から街へ重たい荷物をかついでトボトボ歩いている女の子を見るや、「かわいそうだがね、乗せてあげなさい」と、アンマーとウバンカが声をかけて、お昼と夕ご飯を一緒に楽しみました。自転車で帰ろうとすると、レンタルにはライトがついてないことが分かり、クルマのトランクを開けてそこに自転車を押し込んで、トランク開けたまま茶花へ送りましたっけ。楽しい思い出。ぼくはこんなアンマーやウバンカのノリが好きですが、与論ではありふれたことです。

 でも、そのありふれたことが、こんないい物語を生むんですね。空港と港は与論物語の起点。この音楽家の話は、現在の貴種流離譚、与論民話の現在形を読むようです。こんな物語が生まれる限り、与論は大丈夫、と思うのでした。

 与論直送の貴種たちの姿です。

Concert1_3
Concert3_2



 

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