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2008/04/05

亜熱帯ヤポネシア

 琉球王国を根拠にした奄美の琉球州入りは賛成できません。たとえば、琉球王国の領土であった奄美諸島の沖縄県への返還という提案も存在しているようですが、響いてきません。何より国家存続の踏み台にさせられてきた歴史を持つ地域がその当の国家の論理で、奄美に接近するのはげんなりします。それは日本という国家の縮小再生産に見えてきます。

 琉球文化圏を根拠にするという提案もあり、それはぼくには馴染み深いものですが、奄美諸島内における琉球文化の露出の濃淡を考慮すると、琉球文化圏は過去に遡行するには有効だけれど、未来を展望する言葉になりにくい気がします。

 そこで新しい言葉が必要だと思うのですが、たとえば、「亜熱帯ヤポネシア」はどうでしょう。ヤポネシアの亜熱帯地域という意味で、琉球文化を形成した基盤の自然を名指したものです。それは地勢の環境を言ったに過ぎませんが、北海道にしても四国州にしても、本土としてみた九州にしても、道州制の境界の大きな根拠のひとつは地勢なのですから、「亜熱帯」でも根拠薄弱にはならないでしょう。

 それと、ヤポネシア、ですが、前利潔さんはこう書いてます。

 島尾敏雄のヤポネシア論の受容の仕方にも、違いがみられる。沖縄側はヤポネシア論を日本という国家に包摂されることを拒否する思想として読み込んだ。奄美側はヤポネシアと視野を広げることによって「奄美」を日本という国家に正当に包摂してくれる思想として読み込んでいる。ヤポネシア論を「沖縄人(琉球王国)」の記憶で受容した沖縄と、「日本人」の記憶で受容した奄美との違いである。(前利潔、「時評2006 6月」「琉球新報」)

 ヤポネシアという言葉が、奄美と沖縄では受容の仕方が異なるというのは確かにそうだと納得します。ところでぼくはこれを、受容の相違としてではなく、両者に受け容れられる言葉という意味で受け止めて、「亜熱帯日本」ではなく、「亜熱帯ヤポネシア」としてはどうだろうという考えです。

 ・琉球州は、ヤポネシアの亜熱帯地域で構成します。
 ・琉球州は、「亜熱帯」「という自然環境の同一性を基盤に観光立州として位置づけます。
 ・琉球州は、自然環境の同一性を基盤に育んだ多彩な琉球文化を発信します。
 ・それは日本に対し、日本や日本人の懐かしさを提供するでしょう。
 ・また、海外にも、人類的な懐かしさを提供するでしょう。

 過去に根拠を求めるのではなく、未来的なビジョンのなかで過去を生かすように琉球州を構想していけたらと思います。



 

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コメント

 クオリアさん

 「沖縄」と与論との定期的な音楽祭は既に10周年を超え
ているのではないかとかと思います
「沖縄」と括弧書きであるのは、正確に言えば沖縄北部の
というか、南部(琉球王朝をエライものと偉ぶっている)
をのぞいた、分かりやすく云えば「ヤンバル」地域の学校
どうしの交流を中心とした「音楽祭」のことです
歴史的にも大きな意義があることでもあり、私自身は凄く
大きな感銘を受けています

「沖縄語のもっとも特徴的な音韻変化は五母音から三母音
への変化である。」と外間守善は述べています。(沖縄の
歴史と文化-P100-)
10年前で21版の中公新書なので権威もあるのかもしれませ
ん。がしが、「与論の島言葉は三母音を基礎としていて、日本
語はそれを基礎として五母音と発展した。」
であるがゆえに、ユンヌ言葉は、「日本語」の原型を最も
残していて「日本祖語」の雅さと奥深さをもっている。
というのが、我が「惟い」ですが(ワームイデーシガ)・・・

 書き言葉よりもずっと前の口承伝承の言葉を書き言葉の
都合で解釈するのは、如何なものかと考えている次第です
そんなことしたら「がし語」や「うりうり語」は言葉でも何でも
なくなって未開人の言葉みたいになってわらないというかな
しいことになるのではないかと憂えています
杞憂であればと願いつつ、ユンヌ唄やユンヌ言葉を学んで
いる日々です
沖縄語は種々雑多ですが、ユンヌフトゥバは純粋
であると日々納得しています
我田引水かもしれませんが、親先祖を崇めている
だけのことでしょうね

 

投稿: サッちゃん | 2008/04/06 00:42

サッちゃんさん

外間守善の三母音化は、五母音を前提にしていていらだたしくなります。ぼくも琉球弧の三母音は、母型になっていると思います。沖縄本島や奄美大島の言葉が混交と五母音化を強めているのに対して、ゆんぬふとぅばの中にもっとピュアなものを感じられる瞬間が確かにありますね。

与論とやんばるの音楽祭。いつか見たいです。

投稿: 喜山 | 2008/04/06 17:49

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