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2008/03/10

グー

 『ドゥダンミン3』を続けます。今日は、「グー」です。「グー」といえば、沖縄ではクジラを指すと思いますが、与論では、「グージャー」となっていました。「グー」はどういう意味でしょう。

 与論語で友達のことを「ドゥシ」又は「アグ」という。アグは、「合う具」の「う」が脱落してアグになったと思われる。
 グー=具。
 料理では、みそ汁や雑炊に入れる野菜・魚肉のことを具と言う。豆腐にイウガマをのっけると酒の肴にもってこいである。下駄や草履のように対をなすもの、蛤やアナグーの二枚貝、セットや組み合わせになっているものなどをグーといい、片割れをハタグーという。グーには「良くあう」意味が含まれている。
 シャコ貝のことを与論語でアナグーという。アナグーとは穴によく合うということである。穴に合うというより、実際は自分で大きさに合わせて穴を作っているのである。
 「グーナティ」、「グーナユン」と言えば「夫婦になる」ことを意味する。最も現代では通用しないかもしれないけれど。年頃の成年に「アグ、トゥメーティクー」といえば、結婚相手を接してこいという意味である。古代語が今も残る与論語である。(『ドゥダンミン3』竹下徹)

 グーを考えるのに、アグに遡るなら、アグは、「首飾り」から来ていると、去年、考えました。

 ※「アグはブローチ」

 これは、「日本国内には海岸や河川などの、水に縁のある場所にアゴやアンゴの地名」があるが、その由来はマレー語にある、アゴは「頸飾」、アゴックには「ブローチ」「珠数の頸飾」から来ているのではないかという鏡味完二の『日本地名学』から引いたものでした。

 この地名は最初は真珠などの飾玉を採集する海岸に命名せられたものが、そこから真珠のない海岸に移住した漁夫らを呼ぶ名ともなって、そこには地名の根が下されたと考えられる。青森県の方言に「漁夫仲間」を指して、Akoというのがある。(鏡味完二『日本地名学』)

 この説を教えてくれた牧野哲郎さんはそこから連想して、徳之島南端の阿権(アグン)、竜郷の赤尾木(アーギ)、竜郷、瀬戸内のアンキャバ、糸満の阿波根(アーグン)、与論の赤佐(アガサ)などを同じ系列と捉えていました。

 これは今見ても面白い連想だと思います。飾玉になる真珠を採集した海岸名は、次に真珠の取れない海岸に移住した漁夫の名称になる。それは漁夫仲間の意味にもなる。こういう経過を辿ると、アゴは、海岸名から漁夫仲間の意味になり、ついで、友達そのものの意味になったと解釈すると、与論でいう友達のアグにつながります。

 するとアグ(友達)は、アガサ(赤佐)の海岸名を由来は同じだということになります。この連想、やっぱり今たどっでも面白いですね。

 で、「ドゥダンミン」のアグ考と対比してみると、グーは「道具」ではなくて、「首飾り」のアゴからの転訛したアグの「ア」が脱落したものと見做すことになります。すると、グーには「良くあう」意味が含まれるのも、「グーナティ」、「グーナユン」が「夫婦になる」ことを意味するのも、素直につながります。

 「グーナユン」なんて与論で使われると楽しいでしょうね。



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コメント

 クオリアさん

 ユンヌ言葉が現代に通用するかどうかではなく、大切な
ことは、ユンヌフトゥバやユンヌウタは親先祖からの口承
で語り伝えられた遺産であることです
 それが失われることは与論はユンヌではなくなってしま
うことだと私は思っています

 遺された財産、つまり遺産は島自体ないしは周囲の自然
という有形なものだけでなく、無形のいわゆるユンヌ文化
だと思います
それは親先祖の生きた暮らし、姿形そのものをどうやって
理解するかにかかっていると云えるでしょう

 提起されていることにコメントします
ユンヌ言葉は、紛れもなく日本祖語です
琉球語も奄美語も、その点では亜流かと云えるでしょう
祖語たりえたのは、天然地形の然らしむる所以かと思われ
ます

 アグの「グ」は、具(つれあい、配偶)であり、遇(
一対)であり・・・いろいろでしょうが、「合う」の「う」
が脱落したとは、親先祖への思いやりのない傲慢としか云い
ようがないくらい腹立たしいですね

 せめて、アチャ(阿父)、アンマー、アンモイ(阿母)の
阿(あ)は思いつくでしょうから・・・
因みに、「阿」は「人を呼ぶのに親しみを表して冠する語」
(広辞苑)です

 「吾、我」も「あ」ですよね
ユンヌ昔遊び唄の「ニゾヨイカナヨイ」にこんな歌詞があり
ます

 ウレタ(あなた達)「ぐ」ヌ(友達の)チュブリ(一人)

 ワーチャガ(わたし達)「ぐ」ぬ チュブリ(代表一人)

 ウチマジリ 遊びシャービラー

この「ぐ」は、何でしょうね

 源氏物語の「浮舟」には、「この宮の具にては、いと・・
・」というのもあります

 与論の言葉の「アグ」の意味は、友人の大切さを表現する
奥深いものであって、「う」が脱落し、欠落したのだという
軽々しいものではないでしょう

 そんなことを公言するのには憚られますよね
地名やものの名などの名詞は、豚がブーでも、ピッグでも
ウワーでもウワンクァでもいいでしょうが、意味のある言葉
は根拠なり、謂われはあるはずです

 つい辛口になりましたが、この辺りのことはいい加減する
ことではないと思っています


投稿: サッちゃん | 2008/03/11 03:10

サッちゃんさん。

ユンヌ言葉の意味が分かると嬉しいです。由来もそうです。

この嬉しさを、楽しさとして新しい世代のユンヌンチュと共有しけたらいいなと思っています。いまや、学校で方言を教える時代ですから。

投稿: 喜山 | 2008/03/11 07:34

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