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2008/03/18

ウンワラビ

 直訳すると「海の子」になる「ウンンワラビ」のお話。

ウンワラビ
 ウンワラビは、人魚のことだと言われている。人魚は上半身が女、下半身が魚の想像上の生物とされ、ジュゴンがそれに近いと思われている。沖縄では犀漁(ざんのうお)と呼ばれ辺野古沖や名護湾沖で見つかっている。天然記念物である。
 与論ではウンワラビが釣れたときには、ウンパフ(海に小物を入れて持っていく二十センチ四方程の木箱)の中に入れて泣かさないようにする。そのためにウンパフを持って行く。泣かすと台風が吹くと恐れられている。ウンワラビをいじめたり、陸に揚げてもいけないとされている。この話からすると人魚とは別ではないかと思われる。
 K氏があるとき、ウンワラビを釣って浜に置いていた。それをある婦人が持ち帰り、ウプナビ(口の広い大きな鍋)で煮て豚に食べさせた。すると与論の空がにわかにかき曇り、大風が吹き荒れ、災害が起きた。その日、沖永良部に電話をかけて天気をきいたら、風のないべた凪だということだった。それ以来、K氏は海に行くことをやめたそうである。K氏は糸満漁業の経験もある海達者な人である。この話は、K氏本人が実体験として話したことである。
 与論でいわれているウンワラビは、ワラビ(子ども)という名前が付いているし、ウンパフにはいる程の小さなものだから、ジュゴンとは異なるものではなかろうか。ジュゴンの子どものことなのか、はたまた海にいると信じられている妖怪なのか、誰か教えてもらいたい。(『ドゥダンミン3』竹下徹)

 ウンワラビを釣って豚に食べさせたら、「与論の空がにわかにかき曇り、大風が吹き荒れ、災害が起きた」。ここを読んでいる時には、すっかり昔の民話のように思っているのに、沖永良部に「電話した」と出てきてびっくりします。そう、いまどきの話なんですね。現代の民話です。都市は都市伝説を生みますが、与論には昔ながらの民話の世界がすぐそこに広がっているんですね。

 与論には森がないので、キジムナーやケンムンなどの樹木の精霊(スピリット)は育ちにくいけれど、その分、ウンワラビにしてもイシャトゥーにしても、海の精霊(スピリット)は豊かに育つ気がします。海の子、ウンワラビ。会って見たいですね。


追記
 康三兄さんには、ウンワラビはボウボウのことではないかと教えられました。

 ボウボウ

 ボウボウは「ぐうぐーぐうぐー」と鳴くそうなので、「泣くウンワラビ」と符合していますね。海の精霊(スピリット)の背景には、現実の魚の存在があって、それが精霊(スピリット)のリアリティを支えるのかもしれません。



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