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2008/03/30

引き裂かれる奄美

 「NPO法人ゆいまーる琉球の自治」の松島さんが伊江島で開かれた「ゆいまーる会議」をレポートしています。

 「伊江島ゆいまーる会議」

 そのレポートの「伊江島ゆいまーる会議8」で、前利さんの、

前利さんは、道州制によって奄美諸島が沖縄県と鹿児島県に引き裂かれるという問題を指摘しました。

 という発言が気になり、松島さんにお尋ねしたところ、

道州制が 実施された場合、九州州と一緒になろうとする奄美諸島と、沖縄州とともに歩もうとする奄美諸島に分かれるという意味ではないか

 と、答えてもらいました。ありがとうございます。松島さんには前利さんに聞くといいというアドバイスもいただいたのですが、前利さんを存じ上げないので、ひとまず独り考えをしますが、「引き裂かれる奄美」というテーマは、『奄美の多層圏域と離島政策』の「市町村合併と群島内の経済モデル」という考察を思い出します。

 「市町村合併問題は、経済統合問題」という視点に立った考察では、奄美を北奄美と南奄美とに分けたシミュレーションを行っていました。

 「奄美の多層圏域と離島政策 10」

 徳之島以北を「北奄美」、沖永良部と与論を「南奄美」とした場合という仮定ですが、これは、道州制が敷かれた場合の、「九州州と一緒になろうとする奄美諸島と、沖縄州とともに歩もうとする奄美諸島」とパラレルに受け取ることもできそうです。

 あくまで経済観点で見た場合のシミュレーションでは、鹿児島県内で北奄美と南に分かれるのも、北奄美は鹿児島県、南奄美は沖縄県に分かれるのも、あまりメリットは見いだせないという結論でした。そして奄美全体で沖縄県内の市町村合併をするなら意味があるだろう、と指摘されていました。

◇◆◇

 経済的に見た場合、「引き裂かれる奄美」にメリットはない。それはそうだろうと、ふつうに考えても想像できます。もともと小さい経済圏なのに分割したらもっと経済性が小さくなるということでしょうから。そして現状のまま分割したら、北奄美は九州州のお荷物、南奄美は沖縄州のお荷物扱いであることも目に見えています。いやそれは、奄美自体が現状のままであったら、どちらへなるにしても、お荷物扱いであるに違いありません。

 だから、「引き裂かれる奄美」というテーマは、引き裂かれるほどに統一感がない奄美の歴史と現状を踏まえるためのいい問題提起になっているように思います。

 この問題提起を受け止めると、依然として問われているのは、奄美とは何か、ということなのではないでしょうか。この問いに対する答えをもって、というより、この問いに答えようとする対話のなかで、奄美の進む道も見えてくるのではないかと思えます。

 ちょうど道州制については、24日に「道州制ビジョン懇談会」が、2018年までに完全移行を謳った中間報告が提出されました。このニュースを見ても、いまひとつ現実的な動きが起こるのか、実感が湧いてきません。大前研一は、「道州制に移行しなくてはいけない真の理由」のなかで、知事は席が減り役所も仕事場が減り地方のマスコミも存立基盤を失うから、大きな政治的決断が無ければ先へ進むはずがないと2年前に書いていますが、いまひとつリアリティが湧いてこないのはこうした背景もあるのかもしれません。ただ、政治にねじれを起こして事態をストップさせて、とにもかくにもここ数年で起きている混乱を回収するまでは何も先へ進めたくないという生活感情があるから、なおさら、2018年までの移行という報告にリアリティを感じないのかもしれません。

 けれど、事態の進展がどうあれ、奄美にとって奄美とは何かが突きつけられていることに変わりはないと思えます。ぼくはこれは答えの内容もさることながら、奄美がそれに答えるということ自体に大きな意義を感じます。そのための言葉の積み重ねをぼくもささやかながら続けていこうと思います。



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