« 与論が「にほんの里100選」に応募するなら | トップページ | 「ゆいまーるに基づく自治の道」 »

2008/02/04

マチャン

 珊瑚礁は、海と陸に二重化される。ときに海でありときに陸。それが珊瑚礁の魅力だ。そこで、珊瑚礁では、陸で漁ができる。

 ピシバナ(環礁)には、外海からイノー(内海)へ通ずる溝がある。そこは魚の通り道なので、そこに網を張り魚を捕る。それをマチャン(待ち網)という。三月三日の浜下りのときは、「サンガチヤブリ」といわれて海がしけることが多いので、その二・三日前にこのマチャンをしてあらかじめ準備する。マチャンの場所には占有権があり、その昔は占有者でなければできなかった。名前も付けられていた。

 その昔、先述のナーシバンバラの漁占有権をめぐり、三月三日の浜下り組とシニュグ組との間で、喧嘩があったそうである。潮が引くとピシバナの上にいた魚は、イノーへ降りる。その通り道を「マタ(股)」という。潮時を見計らってそこにマチャンをする。マタと限らなくても、弓形に大きく網を張り、二~三人で上の方から石を投げたりして魚を追い落として漁獲している。アイナー、ニームシが主に捕れる。浜で焼きビャースをして一杯やるのは、にわかウミンチュ男の人生の至福どきである。(『ドゥダンミン3』竹下徹)

 ピシバナ(環礁)は、珊瑚礁と外海の境界にある。そこは、海同士の境界だから、イノー(内海)へ行くことができる。でも一方、イノー(内海)は大潮のとき、陸にもなるから、人も行くことができる。そこで、陸にいながらにして漁をするような、そんなことができるのだ。それが、マチャン。待ち網のことだ。可愛らしい響きの言葉だと思う。

 ぼくも「にわかウミンチュ男の人生の至福どき」をぜひぜひ体験したい。


 

|

« 与論が「にほんの里100選」に応募するなら | トップページ | 「ゆいまーるに基づく自治の道」 »

コメント

 クオリアさん

 与論のシマンチュだけでなく、海に囲まれた島だらけで
できた日本の国なのに、であるからこそ海を怖がる人々が
多いように思えます

 お話の通りですが、海に囲まれた島で魚がいつでも採れ
るのであれば台風続きで陸が不作でいる時恵まれた海産物
で暮らせばいいのに、飢饉に陥ってしまうという歴史的な
島国の現実があるし、あったことも事実かと思います

 マチャンで魚が採れて暮らしができる島ならば、ナーシ
ナーシ(自分自分だけ)の争い(イッコイ)をしなければ
いいものを、身内同士でも相争う=「骨肉の争い」という
表現力豊かな日本に住む人の奥の深さは、ヌゲーラや?

 ゆんぬちゅるしまやサー いんくさやあしがヨー
  なびぬすくなかに ぐくぬたまる アンチャメヨー

 与論という島は 居にくい(小さい)けれども
  鍋の底中に 五穀が溜まる そうでしょう皆さん

 あたっているかどうかわかりませんけれども、こんな
小さな島だからこそ、少しのものでも分け合って生きて
行きましょうという俚諺なのでしょうか

 日本の島々の海は豊かだと思います
いろいろな意見があったようですが、イチョウキ長浜は
結果としてというか、姿かたちを変えてしまいました

 なんか一つだけ腑に落ちないことがあります
航路もあり、港もできて腕のいい船長もいるのに、与論
にヨットがないのはなぜでしょうか?
私には、理解できないことの一つです

 すごいキャリアのヨットマンの船に乗せてもらって海
の上でもみくちゃにされましたが、なぜか与論の港に入
るのは容易なことではないという先入観があるようで、
「あそこは、寄りたくない・・・」という話もあります

 与論の島のせいなのか、日本民族の海に囲まれていな
がら海を恐ろしがるシマンチュ根性なのか、それが・・
私のクエッション?です

 ヨットいいところは(欠点でもありますが)・・・
与論小唄で唄ってみます

 水と風とがないならば ヨットは奔りもしませんが
 水と風とがあるならば ヨットはどこまでも奔ります

サバニを漕いで生きてきたウミンチュの島でもある与論
の島ですから、ヨットがあるのも風流(?)かなと・・
そんな夢を見ました


 

投稿: サッちゃん | 2008/02/05 00:19

風流ですね。

  水と風とが  あるならば

   何時か暮らせる  ときがある
     花れ離れになろおうとも
       小島の主と  花が咲く

投稿: わらび | 2008/02/05 06:23

>サッちゃんさん

一方で、海路を陸のように操った海洋の民もわたしたちの祖先の一部であることも確からしいです。するとなおさら、ヨット、帆掛け舟の名人がいてもよさそうですね。


>わらびさん

この唄も風流ですね。(^^)

投稿: 喜山 | 2008/02/05 09:00

 クオリアさん

 得手に帆をかけて奔るだけではズッコケます

 逆手に帆をかけて シュラシュッシュッシュ
といきたいものです
ジグザグ走りも 見事な自然の力ですよね

 ピンチはチャンス!なのだとはよく聞く言葉
ですが、自分のことになると・・・

 待てば、海路の日和 ありや なしや で
日が暮れて七切れ島に沈み 陽はまたウプグチ
から上る マチャンかや ま いいか

 

投稿: サッちゃん | 2008/02/05 12:32

サッちゃんさん

柳田國男が『海上の道』で描いた原日本人は、風と潮の流れが程よくなる年に一度のタイミングを待って北上する民として描かれています。時間の尺度ともわたしたちとは比較にならないくらい、ゆったりしたものだったでしょうね。

投稿: 喜山 | 2008/02/06 14:45

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/87956/17728625

この記事へのトラックバック一覧です: マチャン:

« 与論が「にほんの里100選」に応募するなら | トップページ | 「ゆいまーるに基づく自治の道」 »