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2007/12/11

神アシャギの転移

 池浩三の『祭儀の空間』を読んだ。
 新刊というわけではない。30年近くも前の本だ。

 ※『祭儀の空間―その民俗現象の諸相と原型 (1979年)』

 与論島のシヌグのサークラのことを考えていると、漠然と、久高島のイザイホーでも登場する神アシャギのことを連想する。それから、柳田國男の「稲の産屋」を読むと、稲の穂積とサークラとの関連が気になってくる。シラとサークラとティダの名前のつながりももやもやしたままだ。

 サークラ、神アシャギ、「稲の産屋」のことが、堂々めぐりのように、ひとつがもうひとつを連想させるこの頃だったが、そんな状態を見透かすように、康三兄が、読め、と送ってくださった。
 まさに、こんな問題意識にはピッタリの本だった。

 伊是名島には五つの村落が海岸沿いに形成されているが、そのうち諸兄・仲田・伊是名・勢理客という古くからの村落の宗家の屋敷内には、地元で地アサギと呼んでいる祭り小屋が必ず設けられてある。祭り小屋は一辺四メートル前後の正方形の茅茸の建物で、柱は掘立て、床はなく土間で、軒高は土居桁下端で約七十センチ、屈んではうようにしないと中に入れないほど低い。それはちょうど屋根を伏せたようにも見える。  このような多少とも人の目をひく特異な形姿については、これまで、聖なる場所であるから家畜や野鳥などが入らないようにするためとか、祭りを行なう神人たちの動作を人に見られたくないためとか、あるいは古代家屋の表現とか、説明されている。その当否はともかくとして、本書の研究の動機も、やはりこうした特異な外観への関心からであった。

 もう30年近くも前の研究なので、現在的な知見に照らせば、正誤がはっきり確認されていることもあるだろう。

 しかし、残念ながらぼくはそれを知るわけではないので、この本を頼りに、サークラ、神アシャギ、「稲の産屋」の連想に脈絡をつけていきたいと思う。

 ○ ○ ○

 さて、のっけから異を唱えるわけではないけれど、本書で「神アシャゲ」と表記しているところ、ぼくは、「神アシャギ」と表記する。琉球弧が醸成した三母音で表音をイメージすることが、この語義により叶っていると思うからだ。


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