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2007/10/10

砂に帰る。

今朝、スーツを着て地下鉄に乗り込もうとして、
昨日のいまは、まだ暑いあの島にいて、
改葬のさなかにいたのに気づいたら、
棺を開けたときに、ウバンカが、「とおちゃん」と叫んで、
すすり泣いたのを、ふいに思い出した。

みなだが流れてしまい、気が遠くなりそうになる。
昨日偶然に会った同級生が、
「明日、帰れよ。今日は飲もう」と誘ってくれたのも思い出した。

洗骨をしたこの手が、24時間後には、
必要な書類を持って、もう肌寒い東京の、
地下鉄に乗り込もうとしている。

ぼくは、これからも、この両極の時間をふたつとも抱えたまま、
生きていけるだろうか。途方に暮れるようだった。

でもその時、携帯電話が鳴り、
「少し早めに来れますか?」という声を聞き、
ぼくはたちまち東京の時間に吸い込まれていった。

 ○ ○ ○

土に帰る、という言葉がある。
でも、昨日、棺を掘り起こしたとき、
下の方も、まだ白砂だったと思う。
あの下には、土が厚い層をなしているのかもしれないけれど、
ぼくたちは、白の世界に祖父を訪ねていった。

祖父の肉体は、砂に帰ったのだ。
それは、砂の島の人の宿命だろうか。


ぼくもすぐには砂に帰れない。
いまは、与論島に向かう時が、ぼくの帰る時間だ。

それを糧として。


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