始まりの赤、終わりの青
先日、赤い猫、アーミャーのことを書いたら、
『無学日記』で「アーミャー」を解説している喜山康三さんから、
「赤」には、得たいのしれないもの神的なものという意味、
始まり、先端の意味があると教えてもらった。
たとえば、アーミャー、「赤い猫」は“不漁”を意味するが、
イシャトゥに邪魔されたことを含意しているのかもしれない。
他にも、アートゥイ、「赤い鳥」は、不吉な鳥のことだ。
また、アーシカマは「早朝」のことだが、
始まりという意味にも使われる。
そういうことを教わった。とおとぅがなし。
与論言葉を知っているのは、とても羨ましい。
この流れでいえば、アーサキ、赤崎のことを思い出す。
民話によれば、島人が始めて上陸した地が赤碕であり、
島の起点のウガンも赤崎とされている。
教わったことをもとにすれば、
アーサキ、赤崎は、霊的なものと始まりの両義的な意味をもつ
地ということになる。
○ ○ ○
また、「赤崎」を始まりの地と解釈すると、
その対のように、終わりの地として「青島」のことを思い出す。
琉球弧でオー、青と呼ばれる奥武島などの地は、
葬所、墓場であると考えられている。
空間化された他界が、オー、青と呼ばれたのである。
始まりに対応させれば、終わりの地が、オー、青だということになる。
始まりはアー、終わりはオー。
始まりの赤、終わりの青。
この色の対照、刺激波を放つ。
(九月のアーシカマ)
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コメント
クオリアさん
青の話ですが
青白い人の姿かたちは オーヌギティですよね
日向の国の ヤマトゥンチュの国づくりの場所には
小さな島の 青島があります
ユンヌのミシンガタ(北方)の
青島は、チンタオとも云います
ユンヌの「ナッチョラン節」は「青島(チンタオ)
節」のようにも思えます
この青島は、朝鮮半島ですが・・・
もっと北には、青海島があって
ムール ミンギヌヤ パラジデークトゥヤ なのでしょうか
投稿: サッちゃん | 2007/09/16 22:53
クオリアさん
アーシカマと別に、アートゥクビもありますね
ユンヌフトゥバには、
シュウ(今日)、アッチャー(明日)、ウットゥイ(一昨日)
という言葉はありますが
昨日のことは、与論の言葉では何と云うのでしょうか
不見識なことかもしれませんが、分からないのです
ご教示願えたら有難いことと存じます
投稿: サッちゃん | 2007/09/17 01:32
サッちゃんさん。
ウレーガサンヌムヌ ワーガワカリバデール。
言われて気づくくらいでした。
菊秀史さんの『与論の言葉で話そう』をみると、
昨日は「キノー」とあります。
シュー、アサティ、ウットゥイなどが、今日、明後日、一昨日の、
三母音原型とみなせることを考えると、
キノーは、三母音の原型がもともとあったが、
それが五母音化されて標準語と同じになっているのではないでしょうか。
その三母音原型は、ギヌー、キヌー、シヌーなど、
とりうる音はいくつか想定できますが、
実際、どうだったのかは分からないところです。
こんな風に考えてみました。
谷川健一は、青の島が本土にも分布しているのを見て、
海人が移動した範囲を想定しています。
ムールパラジとぼくも思いますが、いつのパラジかに関心があります。
ぼくは、新しい方からパラジをさかのぼっていくと、
もともとは何だったのかが知りたいです。
オーとチンタオでは、オーの方が古いのでしょうね、きっと。
投稿: 喜山 | 2007/09/17 09:02