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2007/09/14

アーミャー - 赤い猫

海霊イシャトゥのわざわいを避ける方法がある。

  誰かに「今日の漁はどうだったか」と聞かれた時
  「捕れなかった」と言ってはならない。
  なぜなら漁の具合を聞いたのがイシャトゥだったら
  次に海に行った時ひどい目に逢うからである。
  その時は「アーミャーエータン、赤猫であった」(中略)
  と返事しなければならない。

  不漁で帰るとき海に向かって棄て言葉をはくものではなく、
  次くる時は「ティル タラジ シミティ タバーリ」
  駕籠を不足させて下さい(駕籠が不足するほど大漁にして下さい)
  と祈って帰るものだと言います。
  自然に対する人間の関わり方を示しているのでしょう。
  (解説、喜山康三。『無学日記』池田福重、1996年)

不漁のときは、捕れなかったと言ってはいけない。
アーミャー、赤い猫と言うんだよ。
古老の言いつけが聞こえてきそうだ。

情けないかな、ぼくは、こうやって教えてもらうまで知らなかった。

アーミャーとは、イシャトゥを避ける隠し言葉。
海だからこそ使う、隠し言葉なのだ。

もうひとつ。不漁のときは棄て台詞も吐いてはいけない。
ティル タラジ シミティ タバーリ、駕籠を不足させて下さい、
と言うんだよ。ふたたび古老の言いつけが聞こえてくる。

これは隠し言葉ではない。
けれど、海での禁忌への対処に変わりはない。

ここはもうひとつ、ネガティブに言ってはいけないということに加えて、
大漁にさせてください、と直接的に言うのではなく、
魚を入れる籠を足りなくさせてください、
と間接的に、ことに触れるのが面白い。
海への畏怖がおのずと伝わってくる。

 ○ ○ ○

それにしても、アーミャーとは面白い。
亜熱帯魚の色からの連想で、「赤」にしたのだろうか。
アーミャー、「赤い猫」で、いまにも童話が始まりそうだ。

他の島の隠し言葉を知らないけれど、
不漁を“アーミャー”と名づけたゆんぬんちゅは、
なかなかイケてると思う。

「海霊イシャトゥ」



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