津堅地名考4 グシは崖
津堅(チキン)、具志堅(グシチン)、宇堅(ウキン)、
久手堅(クディキン)は、地名として等価だろうか。
そこに行く前に、キン(チン)は、
「生活圏としての聳えていない山」のことだと解したのと同じように、
「キン」の前に来る部分の意味をおおよそ掴んでおきたい。
地名としてみるなら、
何かのある「生活圏としての山」となるはずだ。
『地名を歩く』には、
「具志川」について考察した文章がある。
具志川は方音で「グシチャー」、「グッチャー」と言っている。
(中略)
旧具志川市(うるま市)の具志川城は、字具志川小字下敷原
の海に面している。築城は同市字安慶名にある安慶名城大川
按司の子により、三代の居城であったという。
以上の三城跡には次のような共通したところがある。
(1)いずれにも海に面して、海側は標高二〇メートルの
断崖絶壁をなし、後方はゆるやかな台地に続く。
(2)久米島及び喜屋武の具志川近くの海岸に大和泊があり、
旧具志川市の同城には大和泊があったかどうかは不明である
が、プラマ港という海外貿易に利用した港を控えている。
(3)遺跡から出土する遺物には、青磁、中国製陶器、
グスク系土器などがある。
(『地名を歩く』宮城幸吉)
宮城は、具志川の意味について結論を述べていないのだが、
ここでは、(1)に着目したい。
(1)の「海に面して、海側は標高二〇メートルの
断崖絶壁をなし、後方はゆるやかな台地に続く」という観察だ。
ここで、標高二〇メートルにこだわる必要はないと思えるが、
断崖という観察は、「キン」の前部分の地名の意味なのかもしれない。
津堅島には、ホートゥガーから遊歩道にかけて、
崖と呼ぶべき地形を持っている。
ホートゥガー
遊歩道
斎場御獄のある知念半島の「久手堅(クディキン)」も
断崖になっている。
金武湾のある「宇堅(ウキン)」は、
崖と呼ぶにふさわしい場所があるのか確かめられていない。
ひょっとしたら、「宇堅(ウキン)」は、
別の地名なのかもしれない。
もっと個別の地形は見ていかなくてはならないけれど、
言葉の意味を先に進めてみよう。
「具志川」を例に、「グシ」を「崖」の意味に採ってみる。
すると、「グシキン」は、
「崖のある(生活圏としての)山」という意味になる。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント