立長の由来
ダ行がラ行になる、またはタ行の濁音とラ行の濁音が等価であるという
仮定は、「立長(りっちょう)」の地名の語源にも手がかりを与える。
それというのも、「第6回 琉球語と地名研究の可能性」によれば、
「立長」は、「瀬利覚」と表記されていたことがあるという。
「瀬利覚」は、「せりかく」と読めるが、
沖永良部島の知名町にある瀬利覚は、「ジッキョ」と呼ばれ、
沖縄の浦添市にある勢理客は「ジチャク(ジッチャク)」と呼ばれている。
つまり、「立長」も、「ジッキョ」あるいは「ジッチャク」と
呼ばれていた可能性があるわけだ。
沖永良部や沖縄の「ジッキョ・ジッチャク」は、
「瀬利覚・勢理客」の表記のままだったので、
「ジッキョ・ジッチャク」の表音が残り、語源探索しやすかったが、
「立長」は、「瀬利覚」から「立長」への表記の変化が伴ったので、
それが語源探索の障害になってきたと思える。
一度は「瀬利覚」と表記された土地が「立長」となるのは
一見、不可思議だけれど、
「瀬利覚」が、「ジッキョ」あるいは「ジッチャク」と発音されていたとしたら、
その声音に則って「立長」と表記される可能性を検討できそうだ。
ここで、「ジッキョ・ジッチャク」の「ジ」には、
古形があると仮定してみるのである。
「ジ」は五母音の「ジ」とみなして、三母音に対応させると、
「ジ」は「ディ」の音をとりうる。
すると、「ジッキョ・ジッチャク」の古形として、
「ディッキョ・ディッチャク」という表音が得られる。
さて、ここで昨日の冒頭の仮説、
ダ行がラ行になる、タ行の濁音とラ行の濁音が等価である、を参照すると、
「ディッキョ・ディッチャク」は、「リッキョ・リッチャク」と表音されて、
こうなると、「リッチョウ」への変化は容易く見て取れることになるのだ。
ここにも、ダ行とラ行のつながりを見ることができる。
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コメント
クオリアさん
云われるとおり「ディッキョ・ジッチャク」の表音として、
聞くほうは、自分勝手にそのまま「リッチョウ」と聞き誤った
としても素直で、不思議はないような気もします
表音よりもヒアリングが難しいのが常かと思えます
グスクから眺める立長の景色風情が縦に長いのも、象形文字か
と思えなくもないですね
字を早く覚えた物識りさんが字に書いたからとか・・・?
投稿: サッちゃん | 2007/09/20 02:06
サッちゃんさん。
ああ、確かに。
「立長」の字を当てたのは、そういう理由に違いありませんね。
とおとぅがなし。
投稿: 喜山 | 2007/09/20 21:35