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2007/09/25

「母の薬草船」と「風の温泉」

(『無学日記』の「母の命日」の章の一部を少しアレンジしました。
文意は通りやすくなっていると思いますが、
原文の方がはるかに味わい深いことをお断りしておきます。)


四月十七日は、君達のお祖母さんの命日だから、
忘れることなくハガンポーリヨー。

君達のお祖母さんは、心の奥が明るくて立派だった。
そんな方の血を引いた君達は、誠の心で世渡りして
お祖母さんを喜ばせて安心させなければならない。

私の母が植えた福木を朝夕みるたびに、
母はまだ生きて私に、ユカムヌ イイチキシュル、
そんな気持ちで見ているので、
この歌をいつも心のなかで歌っているのだ。

 ウヤヌ ウイテアュル カタミヌ プクギヤ
   スバチカク ユティ ワヌドゥミユル

私がいなくなった後、この福木をみだりに切り倒してはいけない。
この福木は、君達のお祖母さんだと思いなさい。
子や孫達をよく見守ってくれる親なのだ。


昭和十九年八月、大東亜戦争のとき南方で戦死した兄さんが、
大正二年に鹿児島から帰ったとき、母に言った。

 イッチュウー プニソウティ ミシラン
 タビカティソーティ ミシラン

すると母は、

 フマナンウイタル ガジュマルヌ マワイ
 イシンチャン チンモウシボ
 プニエークンヤ チュラクデール

と、こう言った。

そこで早速、私はガジュマルの周りに
石を積み上げているのである。

これを君達は簡単に船の形をしていると、
こう考えて見てはいけない。

母は私が小さい頃から薬草のことをよく話してくれた。
母はこの船に薬草を積み込んでそして見守ってくださる。
そんな意味で、私はこれを、「母の薬草船」と心の中で見ているのだ。

だから、君達はお祖母さんがいつも見守っていることを
忘れてはならない。


兄さんは、またこう言った。

 オンセンカティ ソーティミシラン

すると母は、

 シグトゥシチカラ イチャマボー
 フヌガジュマルヌ シチャキチ
 シダーシャシチ ユフィボ
 オンセンカティ イキューシエークンヤ
 ハミンクデール

と、こう言った。

私はそこで、ガジュマルの下にシバ草を植えた。
そして、これを「風の温泉」と心の中で呼んでいるのだ。

仕事で疲れた時、
このガジュマルの下に来て風にあたり休んだら
本当に温泉より気持ちいい。

母の自然を生かした言葉は尊いものだ。


※『無学日記』(池田福重)の一部をアレンジ



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コメント

おはようがざいます。


    こうぞうやか  が

      だしてくれなかったら

       この
   無学日記    は

     なかったのかもしれない。

         私も
             このような記録ができたら

    と
        真面目に思いました。

        
           ありがとう。

投稿: awamorikubo | 2007/09/26 04:56

awamorikuboさん

ウレーこそ書かなければなりません。
与論のためになります。
心から、お待ちしています。

投稿: 喜山 | 2007/09/26 07:51

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