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2007/07/12

奄美の多層圏域と離島政策 11

『奄美の多層圏域と離島政策』
第8章は「奄美の出産と育児に関する地域・家族研究」。

ここにはサブタイトルがあって、
「少子化時代の相互扶助としての
<沖永良部的家族関係>とパラサイト出産」とある。

これは、沖永良部の合計特殊出生率の高さに着目し、
なぜ高いのかを考察したものだ。

直感的には、沖永良部の農の豊かさと南島の温暖な自然とが、
農社会の人口構造を温存させているのではないかいうことだ。

もちろんこれはぼくの推量に過ぎず、
著者は聞き取り調査をもとに分析を試みている。

結論を引用すると、

「合計特殊出生率が高い理由」と
「出産環境を緩和する出産環境」について。

1)経済的に豊かな生活条件
2)パラサイト・カップルによるパラサイト出産
3)若者における人生設計の自由度
4)温暖な気候など身体的に有利な出産条件
5)医療における出産過程の全把握

ここでパラサイト出産とは、
親元にいたり親がそばにいる状況で出産するなど、
「親の様々な資源を活用しながら出産」することを指している。

また、なんというか、可笑しな響きを感じてしまうのだけれど、
「沖永良部的家族関係」も重視されている。

その核心は、「戸籍上あるいは制度上は家族に類型化されない人々が、
あたかも家族であるかのような関係性を築いていることである」という。

たとえば、兄弟姉妹でもないのに、
「○○にいさん」「○○ねえさん」と呼び合っていて、
相互扶助関係を構成しているというのだ。

そう言われてみると、
ぼくも、やか(兄)や、あんにゃー(姉)と、
血縁にかかわらず言うことはあるので、
そのことを指しているのだと思える。

ただ、これは、ちょっとさかのぼれば、
日本にはあったことで、特に「沖永良部的家族関係」
と括りだすものでもないと思う。
ぼくにはこのくくりだしは、どこか滑稽に感じてしまう。

 ○ ○ ○

けれどぼくは、このまじめな考察から刺激を受ける。

産む島、逝く島。ということは考えられないかと思った。

 産む島、逝く島。

子どもを産むときに、産む場所として選ぶ島。
自分が逝くときに、逝く場所として選ぶ島。
そういう場所としての与論島あるいは琉球弧ということだ。

現実的には、産むためにわざわざ島に行くなど、
相当前から準備しなければならず、
男性パートナーが立ち会いたい場合は、障害が大きくなる。

また、逝く島にしても、
逝き場所など、当人が決めることではなく、
成り行きと家族の意思で決まるものだから現実性に欠ける。

と、最初に多くのネガティブ要因を思いついてしまう。

だからこれはいまのところ、単なる夢想アイデアだ。

けれど、島では、潮の満ち干のように、
自然の摂理をより身近に感じながら産むことができる。
また、より自然の流れに近づきながら逝くことができる。
そんな気がするから、両方とも理想的な環境ではないかと思うのだ。

この著者の考察から、ぼくはそんなことを思った。



目次

第1章 岐路に立つ奄美と新しい島嶼研究アプローチ
     (山田誠)
第2章 離島における市町村合併の政治力学
     (平井一臣)
第3章 奄美の市町村財政と地方交付税
     (朴源)
第4章 奄美振興開発事業と建設業
     (田島康弘)
第5章 奄美の農業と農業合併
     (北崎浩嗣)
第6章 奄美の物流と流通コスト
     (山本一哉)
第7章 市町村合併と群島内の経済モデル
     (荻野誠)
第8章 奄美の出産と育児に関する地域・家族研究
     (片桐資津子)

第9章 持続的・自立的社会の創造に向けて
     (皆村武一)
第10章 奄美の地域振興と文化
     (山田誠)



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