奄美の多層圏域と離島政策 1
『奄美の多層圏域と離島政策』の第1章は、
奄美諸島の定住条件について考察している。
これは、定住人口と交流人口が、島嶼発展の基盤になるという
この本の問題意識にもとづくものだ。
まず、奄美の経済を考えるときに避けて通れない奄振について、
次のように総括している。
巨額の奄振事業費が投入されても、
その大部分は高度な技術を駆使する本土の建設大資本に還流していく。
相次ぐ大型の公共事業が大量の農業従事者を、
不安定な日雇い労働者として建設業に吸収させ、
結果的には奄美の農業は衰退へと追い込まれる。
事業が生み出すインフラストラクチャー整備の進展に照応して、
本土からさまざまな都会型商品が持ち込まれ、
島内の在来産業の維持を困難にさせる。
これら一連の作用が浮き彫りにされて、
対置される対抗戦略は、
地産地消型のシステムを組み込んだ内発的な発展論である。
奄美の生活水準向上のために復帰後、行われてきた奄振は、
奄美の生活インフラを整備したかもしれないが、
本土の資本の論理に巻き込まれ、地場産業は疲弊した。
そこで、地産地消型の内発発展論が言われるようになった。
この問題意識の延長で、2004年には
民間版「奄振」委員会と通称されるメンバーが独自の改革案を提出。
この改革案は現実的な裏づけが弱くほとんど採用されなかったが、
理念は更新された。
改正奄振法の理念は、本土との格差是正論から
多様性原則に基づく自立論に変わった。
この理念更新は大切なものだ。
と同時に、多様性という言葉に幻惑されずに、
多様性を、奄美の大地と海に根ざした確たるものにする課題を
受け取ることになる。
○ ○ ○
自立、ということで言えば、
平成の市町村合併は、大きな試金石になったが、
奄美諸島では、与論町と喜界町が単独存続を目指す方向を選択する。
これは、合併とは別の大きな困難を引き受ける道でもある。
では、奄美の島嶼は、定住条件を備えることができるのか。
昭和の市町村制は、
役場と学校を中心に集落間構造を再編成する意味を持った。
役場がなくなるということは町の衰退を意味し、
役場への就職が生活の新しい安定を意味したように。
ところで、現在では、街の構造は、
役場と学校を中心としたものではなく、
完全に市町村レベルを越境する形で成立している。
職場やショッピングセンターという新しい中心が誕生しているためだ。
だから、平成の市町村合併は、昭和のそれとは異なり、
新しい町構造を追認するようなものなのだ。
として、著者は奄美諸島の定住条件に必要な、
中心地財のニーズは、都市部に比べたら支持人口は
比べるべくもないものの、
他の離島に比べたらポテンシャルがあると指摘している。
※中心地財:特定の人しか需要しない、
あるいは1人の人は年に数回しか消費・利用しないが、
一定規模の人口集積地だと効果的に提供できるサービス。
さて、ここまでの議論はまだまだ抽象的で、
具体的な考察の接点を見出しにくい。
だから、ぼくも少し抽象的な言い回しで、整理するにとどめよう。
平成の市町村合併が新しい町の構造の追認型であると整理されるが、
たとえば、与論島の場合を採ってみると、
新しい町の中心を沖永良部に見出せなかったのではなく、
与論島のアイデンティティ確認の機会として作用したように思う。
そしてそれとは全く別のところで、市民の交流は進んでいる。
だから、市町村合併問題を機に確認したアイデンティティを根拠に、
島が、行政区域を越えてネットワークを組むことが
課題であり可能性である。
目次
第1章 岐路に立つ奄美と新しい島嶼研究アプローチ
(山田誠)
第2章 離島における市町村合併の政治力学
(平井一臣)
第3章 奄美の市町村財政と地方交付税
(朴源)
第4章 奄美振興開発事業と建設業
(田島康弘)
第5章 奄美の農業と農業合併
(北崎浩嗣)
第6章 奄美の物流と流通コスト
(山本一哉)
第7章 市町村合併と群島内の経済モデル
(荻野誠)
第8章 奄美の出産と育児に関する地域・家族研究)
(片桐資津子)
第9章 持続的・自立的社会の創造に向けて
(皆村武一)
第10章 奄美の地域振興と文化
(山田誠)
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。




































コメント
momotarou no hanasi
mukasi maka-si no koto desita
minamino tiiiiiisana simani
hitobitoha sunndeimasita
sinumo ikirumo sono-sima to
ittai katu sorega subetedesita
soko he totuzen
MOmotarou ga arawaretanodesu
simano sotoniha umaimonoga
ippai aruyo toiimasita
naniga umaimonoka wakarazuni
turerarete
hajimate tiisana sima no sotoni
ookinasima ga atte
tabetakotononaimono ga arukoto
wo sirimasita
100nen mo maeno hanasidesu
imatonatteha toui tooi
MUkasi mukasi no
munu-rattai desu
投稿: サッちゃん | 2007/07/02 23:22
munugattai desita
投稿: サッちゃん | 2007/07/02 23:26
おはようございます。
町村合併の前に農協の合併が議論されました。
その時から、農産物の流通や経済について思考してました。
当然の理論展開でして、
平成の合併は以前の合併とは意味が違うと思っています。
道州制がいいか悪いかは別として、島が自立するための意識がどう高めるかの議論を先にしておくべきではないだろうか。
自立するための産業興しは重要だと思います。
投稿: awamorikubo | 2007/07/03 03:03
サッちゃんさん。
ももたろうが、島の外に連れ出したのですね。
島の心性にびびっとくるむぬがったいです。
ありがとうございます。
投稿: 喜山 | 2007/07/03 21:49
awamorikuboさん。
市町村合併は、島の自立議論のための契機だったかもしれないですね。
産業興し。やりたいです。
投稿: 喜山 | 2007/07/03 21:51